新型コロナウイルスの影響で2度、仕切り直しとなった宝塚歌劇団の雪組スター彩風咲奈(あやかぜ・さきな)主演作「炎のボレロ」「Music Revolution!-New Spirit-」が29日、大阪・梅田芸術劇場で初日を迎えた。9月6日まで。

彩風らは前日まで2日間に渡り、舞台稽古を行って最終の仕上げ。最後の稽古を終えた前日夜には「(コロナ禍で開幕を迎えることができ)皆さま、ありがとうございました」と、スタッフ、待ってくれているファンを思ってか、涙しながら感謝の思いを口にした。

今作は当初、トップ望海風斗が退団を発表している雪組の主力スター彩風が、全国ツアー初主演作として、5月に上演予定だった。3月末には出演者35人が集い、稽古を始めたが、4月に緊急事態宣言が発令され、稽古は中断。ツアーの初日を迎えることなく、中止が決まった。

劇団関係者によると、中止決定の際には「目に涙を浮かべる生徒もいた」といい、その後、劇団は上演スケジュールを再考。大阪・梅田芸術劇場公演として、8月17~25日の日程で上演準備が進められ、7月に入って、3カ月のブランクを乗り越え、再び稽古を始めた。

ところが、それも詰めを迎えた段階で、出演予定者からPCR検査で陽性判定者が出て、再び稽古がストップ。延期となった。2度目の仕切り直しを乗り越え、やっとこの日、約4カ月遅れで舞台の幕が開いた。

今作「炎のボレロ」は、88年に星組の日向薫主演で上演された故柴田侑宏氏のオリジナル作。演出は中村暁氏が務め、再演になった。舞台は1860年代のフランス政権下のメキシコ。政府に抵抗し、家族も財産も失った青年貴族が、祖国を取り戻そうと立ち上がる様を描いた。

主演の彩風が青年貴族アルベルトを演じ、アルベルトは、ヒロイン潤花ふんする敵方の令嬢と運命的に出会い恋に落ちる。人気スター朝美絢(あさみ・じゅん)は、アルベルトを追うフランス軍情報部大尉を好演した。

もともと、ツアー作品のため、ショーと2本立て。中村一徳氏が作・演出のショーは、19年全国ツアー版のリニューアルで、ジャズ、ロック、ラテン、ポップス、クラシック…多様な「音楽」をテーマにつづった。手足の長さ、8頭身スタイルも武器の彩風は、特徴的な伸びやかなダンスでファンを魅了した。