東出昌大(32)が17日、都内の新宿ピカデリーで行われた映画「スパイの妻」公開記念舞台あいさつで、劇中で演じた憲兵の役作りについて「行いが人の道に反しているのが、あの時代の特徴。ヒールに徹した」と語った。

東出は、太平洋戦争前夜の1940年(昭15)の神戸を舞台に描いた映画で、神戸憲兵分隊長・津森泰治を演じた。貿易会社を営む福原優作(高橋一生)と妻聡子(蒼井優)の夫婦と懇意にしていたが、満州に赴き偶然、知ってしまった恐ろしい国家機密を、正義のため世に知らしめようとする優作に目を付けて、夫婦を追い詰めていく役どころだ。

東出は役作りについて聞かれ「(映画は)満州の秘密がテーマ、キーワードになると思う。ずっと勉強してきた科学者が細菌兵器や爆弾を作って、医療従事者が人体実験をした」と、劇中でも描かれた時代背景について語った。その上で「時代がグチャグチャになっちゃったがために、人間の行いというのも、人の道から反しているというようなことが、あの時代の1つの特徴なのかなと。そういう人物になれればなと思って、ヒールに徹した。徹してもいないのかな」と照れ笑いを浮かべた。

黒沢清監督(65)は、東出について聞かれ「ご本人は嫌がると思うけど…怪しい。妖の方の妖しさもある。あらゆる面の怪しさを持っていて、ご本人、気付いていないと思いますけど、出てきた瞬間、何かが起こる感じが大好き。(劇中でも)怪しさを存分に発揮された」と評した。その上で「(善悪)どっちに行くんだろうというのが東出さんの個性。1番、いいところだったと思います。あの時代の人もそうだったと思います」とたたえた。東出は「ありがとうございます」と感謝した。