政府が7日に新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を首都圏1都3県に再発出後も、関西3府県、北海道など全国で感染拡大が続く中、エンターテイメント業界への影響が深刻さを増している。テレビ各局は感染予防対策をした上でスタジオ収録を継続するが、一部のロケが激減しているといい、出演タレント、制作スタッフともに仕事を失いかねない危機も見え隠れする。

複数の放送関係者によると、首都圏に緊急事態宣言が再発出された前後から、特に地方ロケが少なくなっているという。その裏には、感染拡大の予防ということに加え、いわゆる「自粛警察」的な声への恐れという裏事情もあるという。ある関係者は「ロケにおける感染のリスクに加え、地方に行くと食リポがあったり、現地のお店での飲食が出てくる。そうしたところを、一般の方に写真に撮られてSNSなどに拡散され、自粛しろと批判を受けることを避けたい」と語った。そして「番組スポンサーへの配慮という部分が一番大きい。早いうちにロケをバラし(取りやめ)、手を打っておくという流れ」と語った。

「自粛警察対策」という部分においては、映画業界も同じだと語る関係者もいる。大手シネコンでは、通常の上映では客席の全席販売を継続する一方、俳優の舞台あいさつなどがつくイベント上映に関しては客席の販売数を制限するチェーンが少なくない。映画関係者は「イベント上映の際は、メディアの取材を入れる。そこで満席の客席を報じられると、密に見えて見え方が悪い。客入れは50%が精いっぱいでしょう」と語る。

昨年4月以来の緊急事態宣言発出だが、今回は自粛を強く求める声に配慮して対策する…という、別な意味でのロケやチケット販売の制限という事態になっている側面もあるようだ。