年が明けて、1カ月近くがたった。新型コロナウイルスの感染再々拡大による自粛要請の影響で、生の取材現場は数えるしかない。

大きな会見は中止になり、リモートのインタビューも続いている。習うより慣れろだが、機材トラブルもある。つい最近は、お笑い芸人を取材したのだが、パソコンの音声が通じず、スマホを使ってリモート取材。インタビュー中、映像は真横になったままだった。そのまま真剣に答える姿は、ネタをやっている時に負けないくらいおかしかった(笑い)。

そんな中、28年ぶりのアルバム「Port de voix(ポールドヴォア)」を29日に発売した、女優の中江有里(47)を取材した。ソーシャルディスタンスを保ち、マスクをして、もったいないことに顔を反らしつつ話を聞かせてもらった。

30年くらい前はトレンディードラマの全盛期。ドラマでデビューする若手の女優さんを、片っ端からインタビューするラッキーな仕事に恵まれた。

常盤貴子、鶴田真由、和久井映見、松下由樹、内田有紀、持田香織、桜井幸子、観月ありさ、小田茜、水野美紀、水野真紀、酒井法子、坂井真紀、酒井美紀、酒井法子、高橋由美子、一色紗英、吉川ひなの、石田ゆり子、石田ひかり、鈴木杏樹、田中律子…頑張って交渉して、すでに売れっ子でスポーツ紙はNGだった菊池桃子もインタビューした。そして、岡本夏生(笑い)。

その中の1人が中江だった。初めて取材したのはデビュー曲「花をください」を発売したころだから、ちょうど30年前。今また、新しいアルバム収録された「花をください」を聞いて取材すると「17歳から30年たちました。同じように歌うのは無理」と笑った。「でも、戻るのが無理なら進化するしかない」と、昨年27年ぶりに再開した歌手としての仕事に意欲を見せた。

進化は無理だけど、伸びしろなら、自分にもたっぷりある。そう思わせてくれた、中江のインタビューだった。なぜなら、じゅんいちダビッドソンの担当だから。中江の話を聞きながら「伸びしろですね~」という、本田圭佑のものまねがリフレインした(笑い)。【小谷野俊哉】