次作本拠地作で退団する宝塚歌劇団の月組トップ珠城りょうが7日、兵庫・宝塚バウホールで、プレ退団公演「幽霊刑事(デカ)~サヨナラする、その前に~」の初日を迎えた。

172センチの長身。当代きってのダイナミックなトップは、男役として恵まれた体形を生かし、スーツ、トレンチコートを見事に着こなして魅了。2年先輩で、若手時代からともに歩んできた人気スター、鳳月杏との息の合ったコンビぶりでもわかせた。

作品は、有栖川有栖氏原作の同名小説をもとに、石田昌也氏が脚本・演出。恋愛とミステリーが融合した有栖川氏の傑作がミュージカルに仕上がった。

珠城ふんする巴東署の刑事・神崎達也が、夜の浜辺で突然上司に射殺される物語。結婚を控え、殺された理由に心当たりがない神崎は、成仏できず幽霊になる。母親(京三紗)にも、婚約者の森須磨子(天紫珠李)にも姿は見えない。

そんな中、霊媒体質の警察学校の同期刑事、早川篤(鳳月)にだけは姿が見え、声も聞こえるという展開で、幽霊刑事と霊媒刑事がタッグを組む。だが、事件が解決すれば、自らは成仏し、消えてしまう。

「愛する人のため、消え去ることもまた、愛」

次作本拠地作で宝塚を退き、愛するファンに別れを告げる珠城は、鳳月ふんする同期刑事との友情、ヒロイン天紫が演じた婚約者への愛を、軽妙さをまじえて好演。芝居巧者の鳳月は、珠城とのバディー作で本領を発揮した。

今作は当初、昨年9月の上演予定だったがコロナ禍で半年延期。珠城は昨年3月、退団を発表し、翌4月の緊急事態宣言で自粛に入り、7月の再開後、本拠地作としては最後に登場して完走。今作に備えてきた。

前日6日の最終通し稽古を終えた際、珠城は「明日から千秋楽までメンバー一同、無事に公演を届けられるよう努めたいと思います」とコメントしていた。

公演は、宝塚バウホールで3月23日まで。