スノーボード女子ハーフパイプで2018年平昌五輪で金メダルを獲得した米国代表のスター選手クロエ・キム(20)が、SNSで人種差別的嫌がらせを受けていることを告白した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国内でアジア系を標的にした憎悪犯罪(ヘイトクライム)が急増する中、韓国人の両親を持つカリフォルニア生まれのキム自身も10代前半の頃から反アジア的なヘイトを受けてきたと明かした。インスタグラムで受け取った人種差別がつづられたメッセージのスクリーンショットを投稿し、「このようなメッセージが数えきれないほど届く。人々がこうした行為をOKだと考えていることに胸が張り裂けている」とコメントしている。

キムによると14年のウインターXゲームズで銀メダルを獲得した13歳の時に初めてヘイトメッセージを受け取ったといい、「自分が成し遂げたことはとても誇らしかったが、代わりにアジア人であることで恥ずかしい思いをした。本当に無力だと感じ、怖くなる時もある」と苦悩を明かしている。

ESPNとのインタビューに応じたキムは、自身の体験を投稿することでアジア系米国人と太平洋諸島系住民(AAPI)のコミュニティーが直面している問題の認識を高め、差別と闘っていることをフォロワーに示したかったとコメント。「中国に帰れ」というものから「白人のチームメートのメダルを奪うのをやめろ」といった脅迫まで1日30件くらいの嫌がらせメッセージが届くと明かした。ヘイトが理由でアジア人であることが嫌だった時期もあったというが、「その気持ちを乗り越えることを学び、今はアジア人であることを誇りに思っている」と語っている。

一方で、コロナ禍でアジア系への憎悪が増えたと感じていると明かし、「ロサンゼルスの自宅から出かける時は常に用心し、1人で出歩かないようにしている」と身の危険を感じる日々についても語っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)