田中泯(76)が14日、東京国際フォーラムで行われた映画「いのちの停車場」(成島出監督、5月21日公開)完成披露試写会で、劇中で吉永小百合(76)が演じた主人公の父役を演じることに、驚きと不安があったと明かした。

田中は劇中で、吉永が演じた医師・白石咲和子の父で元美術教師の達郎を演じた。吉永とは初共演だったが、同い年で「吉永さんというスターのお父さん役。本当に驚いた。同い年…不安になって大丈夫ですか? と聞いた」と、成島出監督に不安を訴えたと振り返った。成島監督からは「大丈夫、大丈夫」と太鼓判を押されたといい、田中は「お父さん役ということを考えないようにしましたが、監督の言うとおり大丈夫だった。吉永さんの居方が僕をお父さんにしてくれた。感謝です」と語った。

その上で、上映を待つ観客に「大丈夫かどうか、確かめて下さい」と呼び掛けた。

成島監督は「本当に素晴らしいお父さん。病に倒れている役なんですが、撮影前に『5キロやせたい』という。泯さんは、ダンサーで絞る肉がない。『20代ならともかく、どこを絞るんですか? 命に関わるからやめて下さい』といったら、やせてこられた。気迫は映っている…命を削って役を作ってくれたことに感謝」と役作りを絶賛した。田中は「撮影期間、必死の思いでした。記憶に残り続ける映画になると思います」と静かな口調ながら自信を見せた。