泉谷しげる(72)が14日、東京国際フォーラムで行われた映画「いのちの停車場」(成島出監督、5月21日公開)完成披露試写会で、自身の出演シーンの舞台となった家があまりに汚く、主演の吉永小百合(76)が入ってきた時、製作と配給の東映に怒りを感じたとぶちまけた。

泉谷は劇中で、寝たきりの妻の老老介護に限界を感じつつも、吉永が演じる医師白石咲和子が妻の治療をしようとしても、非協力的な並木徳三郎を演じた。徳三郎の家の中は、ゴミや洗いかけの食器などが積み重なっており、咲和子と松坂桃李(32)演じる事務員の野呂聖二、広瀬すず(22)演じる訪問看護師の星野麻世が大掃除する場面では、ネズミの死がいが出てきて大騒ぎになる一幕もある。

泉谷は「自分のシーン…すごい汚いねぇ。ネズミの死体も…東映の美術、すごいな」と、ネズミの死がいまで本物らしく作り上げた美術スタッフの能力をたたえた。その上で「こんなとこ、吉永小百合を入れるのかと怒りが増して、演技が良くなった」と冗談交じりでぶちまけた。また自身の出演についても「シーンが少なくて文句があります。もっと増やせ、この野郎!!」と言い放った。

ただ、そうした暴言も、泉谷流の“愛の表現”だ。泉谷は「私、そんなに出ていないので登壇の意味があるか分からないけど、来てしまいました。応援の意味でシーンは少ないけど宣伝の数は増やしたい」と宣伝活動に意欲を見せた。

また、20年11月18日に急性大動脈解離で亡くなるまで映画の総指揮を執った、東映会長の岡田裕介さん(本名岡田剛、享年71)の死についても岡田裕介会長がお亡くなりになってしまったことを信じたくない」と悔やんだ。その上で、岡田さんとの昔話を語った。

「ある番組でずいぶん、彼をいじめた。自分より1個下なのに『演技とは、な…』」とか。(岡田さんは)やさ男でからかわれるタイプだった。いい的にして、いじめていた。申し訳ないなと」

その岡田さんが、吉永に122本目の映画で初めて医師を演じる新機軸の企画として「いのちの停車場」を立ち上げ、泉谷にも吉永との初共演となる出演のオファーが来た。泉谷は「吉永さんの映画で岡田さんが(総指揮を)やる…ぜひと。東映映画、すっげぇ好き」と熱く語った。