世界で一番有名な日本人アーティスト、葛飾北斎の生涯を描いた映画「HOKUSAI」(橋本一監督、28日公開)で、柳楽優弥(31)演じる北斎の妻、コトを瀧本美織(29)が演じている。

北斎は浮世絵師として名作を描き続け、70年あまりの画家人生の中で約3万点の作品を残した。1日1作の計算となり、絵師に没頭した人生だったが、今作でも唯一の笑顔を見せるのが、コトとのシーンだ。

夫を献身的に支えるコトの役作りについて瀧本は「自分の想像の中での女性像です」。2人のシーンについては「映画の中で、数少ない幸せなシーンを担当させていただいたように思います。役としてできることは、彼にとって安らげる、安心できる場所をつくることだと思いました」と振り返った。

過去に時代劇は舞台「貍御殿」やドラマ「妻は、くの一」で経験しているが、時代劇映画は初めてだった。「シーンによって動きも変わるのでその都度動きをご相談したり教えていただきました。ただ、所作指導の先生が『妻は、くノ一』でご一緒させていただいた方で、心強かったです。もちろん所作は大事ですが、現場で感じること、柳楽さんとの空気感の中で感じることを大切にしたいという思いで臨みました。監督も、所作や動きにとらわれないでいいという方針でした。言葉遣いは全体的に慈愛と母性が内から感じられるよう意識しました」と話した。

北斎については「私個人としては、これを描かねば死ねないという執念が見え、命続く限り終わりなき情熱を燃やし続ける姿に刺激を受けました。妻としては、夫婦でいるときの柳楽さんの北斎が、押したら壊れていってしまいそうなくらいガラスのような繊細さで、この人は私が守らなきゃ、という気持ちにさせられました。男女が逆転したような感覚でした」と語った。