吉永小百合(76)が22日、都内で行われた主演映画「いのちの停車場」(成島出監督)公開記念舞台あいさつで、緊急事態宣言の延長を受け東京都が独自に決めた休業要請に疑問を呈した。12日以降、劇場や演芸場は人数上限5000人かつ収容率50%、午後9時までの条件で休業要請が解かれたのに対し、映画館は休業要請が続く現状に「演劇は大丈夫だけど、映画はダメとうかがって大変ショックを受けましたし悲しかった。くじけそうになった」と発言。日本を代表する映画女優が、封切りを喜び合うはずの壇上で都の措置の曖昧さに首を傾げる、異例の舞台あいさつとなった。

東京・丸の内TOEIの客席に、いるはずの観客はいなかった。吉永は「封切られ、とてもうれしいことなんですけど、とても残念なことは映画に休業要請が出てしまったこと」と無念の思いを吐露した。舞台あいさつは259の映画館で生配信され「全国の皆さまの前でごあいさつできるのは、ここにお客さまがいらっしゃらないからと思って気持ちを取り直しております」と前向きに語ったが、目に涙が浮かんでいた。

都は、演劇やコンサートはOKで映画はNOと判断した具体的な理由を説明しておらず、映画業界から疑問、怒りの声が相次いでいる。明確な線引きをしていないこともあってか、上映されると勘違いし、丸の内TOEIに足を運んだ観客も少なくなかったという。映画の主演、しかも国民的女優の吉永が投げかけた疑問に東京都…その先の政府はどう答えるのだろうか?