NEWS加藤シゲアキ(33)が昨年発表した小説「オルタネート」(新潮社)が、高校生が選考を行う「高校生直木賞」を受賞したことが30日、発表された。伊吹有喜氏の「雲を紡ぐ」も同時に受賞し、同賞8回目にして史上初の2作受賞となった。ジャニーズ事務所所属タレントの作品が同賞に輝くのは初めて。

同賞は、全国の高校生が集まって議論を戦わせ、直近1年間の直木賞候補作から「今年の1作」を選ぶ試み。「オルタネート」はインターネットと現実の2つの社会に翻弄(ほんろう)されていく少年少女を描いた青春群像劇で、登場人物と同世代の高校生たちからも高く評価された形だ。

加藤は「受賞の知らせを聞いた時、不意に『荒野の果てに』が頭の中に響きました」などと表現した上で、喜びのコメントを寄せた。「若い世代が純粋に楽しめる作品を書き、小説を好きになってもらおうと考え、このような高校生の群像劇を執筆するに至りました。自分の願いがかない、実際に高校生の方々に届いたのであれば、これ以上に幸せなことはありません」とつづった。

第164回直木賞の候補に選出されたほか、「2021年本屋大賞」にもノミネート。吉川英治文学新人賞にも輝いていた。加藤は「世界には素晴らしい本がたくさんあります。読者の方々には、この本をきっかけに、人生最高の1冊と出会う旅に出発してほしいと思います」と呼び掛けた。

◆高校生直木賞 全国の高校生たちが直木賞候補作の中から「今年の1作」を選ぶ賞。14年に第1回が開催された。過去の受賞作は伊東潤氏の「巨鯨の海」や彩瀬まる氏の「くちなし」など。今年は渋谷幕張高や麻布高など、北は北海道、南は鹿児島まで全国から31校が参加し、30日にオンラインで選考会が行われた。