国内最大規模の国際舞台芸術祭「東京芸術祭2021」記者発表会が2日、オンラインで行われた。

東京の多彩な芸術文化を通し、世界とつながることを目指した都市型総合芸術祭。16年から東京・池袋エリアを中心に開催する。今年は9月1日~11月30日の91日間、「歴史のまばたき」をテーマに27のプログラムが上演される。

同芸術祭総合ディレクターの宮城聰氏は「今は、同質の人だけが集まり、異質の人とは相容れないという世界観が広まってしまった」とし、「舞台芸術は、異なる人同士が同じことで感動するための最も有効なツールではないか」と期待。コロナ禍では世界全体の劇場が閉じる事態となったが、「仕方がないと受け入れていたことを、変えられると思えるかもしれない。舞台芸術の使命をポジティブに確認できるかもしれない。トンネルの向こう側を見ながら、今年の東京芸術祭をやっていきたい」と抱負を述べた。

今年は、フランスの「太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)」が20年ぶりに来日し「金夢島 L’ILE D’OR KANEMU-JIMA(仮題)」(10月19日~28日、東京芸術劇場プレイハウス)を上演。ほかに「ワンコインで高品質な演劇を」をコンセプトにした野外劇「ロミオとジュリエット」(10月17日~24日、GLOBAL RING THEATER)などが行われる。「東京芸術祭ファーム」と題した若手育成プロジェクトも始動する。

五輪・パラリンピックの開催を控え、宮城氏は人々に感動を与えるスポーツと芸術の関係にもコメント。「スポーツは、バックグラウンドが違っても1つの物差しで測るルールによって人々をまとめることができる。芸術はむしろ、人と人の違いを提示する。その上でこんなに違っても感動するんだと、微かな希望を感じさせる」と違いを説明。「スポーツの機能と舞台芸術の機能は正反対。対極にあるから相補いあえる性質を持っている。オリパラによって世界が1つになるという風が吹く中、(舞台芸術は)人と人は違うよとたじろがずに言い続ける使命があるのでは。規模はともかく、結果的にオリパラと東京芸術祭が両輪としてバランスを取り合う関係を作れるのではないか」と語った。