「久々に芸能っぽい会見だったな~」といった声が報道陣からもれた。先月18日に俳優原田龍二(50)と元女優で妻の愛さんが出席して行われた、山本漢方製薬の青汁「大麦若葉」新CM発表会の後だった。19年に原田の不倫が報じられた際に行った謝罪会見と同じ会場での発表会ということで、注目が集まったイベントでもあった。

不倫についてなど、キワドイ質問も多くあったものの、真摯(しんし)に真っ正面から答える原田の姿に大きな拍手が送られたのだった。

その中でも記者がMVPだと感じたのは、原田の所属事務所の森卓一社長だ。会見前に、報道陣の元にあいさつに来て「何でも聞いて下さい!」「NGなしです!」と笑顔で伝え、会見が始まると、司会者の位置に陣取った。

このような会見の司会はフリーアナウンサーなどが行うことも多い。しかし、森社長は冒頭で「まさかこの会場でこういう会見ができるとは」などと慣れた様子で場を和ませると、原田夫妻が登場する前の、山本漢方製薬社員が行う商品説明などの進行をし始めた。商品説明の際に、電子機器のトラブルが発生しても、悠然と構えて「トラブルはつきものですよね。2年前トラブったやつがいましたからね」とユーモアあふれるコメントで場をつないだ。

原田夫妻が登場した後も、森社長は滞りなく進行し、愛さんに「芸能の仕事のオファーがあったら受けるのか」と質問が飛んだ際には、「私のところにご一報いただければ」とマネジメント業務に手を挙げて笑いを誘った。

原田夫妻のやりとりがホッコリするもので、それが一体感の生まれる会見につながったことは間違いない。しかし、森社長自身が体を張っている姿に胸を打たれた報道陣は多かっただろう。“温泉俳優”としての一面ももつ原田だが、森社長も温泉ソムリエの資格をもっている。聞けば約30年にわたり、原田と二人三脚でこの世界を歩んできたという。

原田は不倫騒動があっても、山本漢方製薬のCMに起用され続けた。契約解除しなかった理由について同社の山本整社長は原田の人柄の良さを挙げていたが、森社長の人柄も同じようにすてきなものだった。今後、原田の活躍を見る度に森社長の優しい笑顔が思い浮かびそうだ。 【佐藤成】