トランプ前米大統領が24日に行った集会で、東京オリンピック(五輪)にトランスジェンダー選手が参加していることや人種差別抗議を行う女子サッカー米国代表選手を批判した。アリゾナ州フェニックスで行った演説でトランプ氏は、五輪史上初めてトランスジェンダーとして東京五輪に出場する重量挙げ女子78キロ超級ニュージーランド代表のローレル・ハバードについて触れ、「1つの競技に男女が参加していることから東京五輪が台無しになった」と語り、それを民主党は積極的に支援していると批判した。「男子が女子のスポーツ競技に出場することが認められていることをどう思いますか?」と語り、人々が最も望まないことは女子スポーツに男子選手が参加することだと言及。「簡単にあなたの長年の記録を打ち破る。片手で勝てるだろう。非常に不公平だ」と語り、これを認めたことで東京五輪は台無しになったとトランプ節をさく裂させた。

また、アーカンソー州で行った演説では、同性愛者を公言し、社会正義を目指す活動家でもあるエース、ミーガン・ラピノーが率いる絶対王者のサッカー女子代表が初戦でスウェーデンに0-3で敗れた大波乱について触れ、「ウオーク(社会的不公正や人種差別、性差別などに対する意識が高いこと)のせいで女子サッカーは惨敗した」と批判。「ウオークはすべての人から人生や喜びを奪う」とフェニックスでスピーチしていたトランプ氏は、「五輪のサッカー女子代表に起きたことはその良い例。予想に反して負けたことにアメリカ国民は喜んでいた」と語り、集まった観衆から大きな歓声が上がった。

試合前に片膝をついて人種差別に抗議したこともあるラピノーは、かねてから「米社会の分断をあおっている」とトランプ氏を批判しており、任期中の2019年サッカーワールドカップ(W杯)フランス大会で「優勝してもホワイトハウス訪問はしない」と公言してトランプ氏を怒らせたことがある。(ロサンゼルス=千歳香奈子)