20日、オンラインで行われた「第8回 『WHO I AM』フォーラム LIVE」を取材した。イベント後の質疑応答に、松岡修造(53)が応じた。「WHO I AM」とはIPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWの共同プロジェクトのこと。

7月23日に行われた東京オリンピック(五輪)開会式から1カ月。テレビ朝日で、04年のアテネ大会から夏季冬季を含めて9回連続となる東京五輪のメインキャスターを務めた松岡が、東京パラリンピック開幕を前に、パラ選手への思いを語った。「パラアスリートのすごさっていうのは、もうすでに、それぞれの壁を破ってきている、ということです。ひとつの障がいとか、受け入れなければいけないものを1回受け入れている。だからこそ強いし、だからこそ次のチャレンジっていうものが、僕からみると想像を超えた可能性のところをチャレンジしていく。そういう意味では人間の力のすごさを感じさせてくれることが素晴らしい」と力強く話した。

東京五輪開幕前の5月、まだ開催されるかどうかも定かではなかった時期に、松岡は「大会が本当に開催された時には“不安”が“感謝”に変わると思う。選手たちの『ありがとう』という言葉がどんどん大きくなってくるような『ありがとうオリンピック』になると思う」と期待を込めて話していた。

東京五輪を終えた今、その言葉どおり、「海外の選手が日本のスタッフを含めて日本人に対して『ありがとう』でいっぱいだった」と確かな手応えを感じたと話した。

パラリンピックもいよいよ24日に開会式を迎える。松岡は「楽しみにしているっていうよりも、無事に終わって欲しいという思いが強い」と話す。「この状況下(コロナ禍)で来てくれて、日本の状況の理解をしてくれている中で、アスリートが感じた思いというのをどう発信していくのか、そこが1番注目しているところです」と力を込めた。

“伝えていく”という立場からは「日本の今起きてる障がい者に対しての心のバリアフリー的な部分。社会の中での接地面はすごく整ってきたけど、心のバリアフリーは相当ある」と指摘しつつ「これによって近づけたいし、変わっていってほしい。伝える側も、勝つ、負けるという事じゃなくて、日本人の『おもてなし』っていう思いをどうやってオープンにできるかとか、そういう気づきをうまく伝えるのも自分の役目」と気を引き締めた。また、パラリンピックを通して「日本の未来を背負っていく子供たちが、今後の日本の支えになっていくようなつながりになっていけばいいなと思います」。5月の取材時には「オリンピックは何のために開催されるのか。その答えを拾って伝えていきたい」とも話していた。

パラリンピックを終えて初めて「東京2020が成功だったと言える」。松岡が追い求めている開催の意義や、答えの形がうっすらと見えてきているようだった。