英国の世界的ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさんが24日、死去した。80歳。英メディアが伝えた。死因は明らかにされていないが、代理人によるとロンドンの病院で家族に囲まれ安らかに息を引き取ったという。

ボーカルのミック・ジャガー(78)は笑顔でドラムセットに座るワッツさんの写真をSNSに公開。ギターのキース・リチャーズ(77)はワッツさんのドラムに「CLOSED」と書かれた札を掛けた写真をアップして追悼した。

ワッツさんは「チャーリー」の愛称でメンバーやファンの厚い信頼を受けてきた。訃報を受け、ストーンズは公式ツイッターで「私たちが愛するチャーリー・ワッツの死を発表するのは、非常に悲しいことです。チャーリーは大切な夫、父、祖父であり、ローリングストーンズの一員として彼の世代で最も偉大なドラマーの一人でした」とつづった。公式サイトにはスーツ姿で笑顔のワッツさんの写真を掲載。デビューから現在まで所属する正規メンバー3人で、最初の旅立ちとなってしまった。

ワッツさんは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、来月末に再開予定だったストーンズの北米ツアーも不参加を表明していた。今月初めに緊急手術を受け成功したが、回復に時間がかかると説明。病名や手術内容などは明らかにしておらず、代役にスタジオミュージシャンのスティーブ・ジョーダンを指名していた。04年には咽頭がんと伝えられたが完治し、音楽活動を続けていた。

ワッツさんはミック、キース、ギタリストのブライアン・ジョーンズ、ベーシストのビル・ワイマンとともに62年のデビュー時からストーンズに参加。左手首を返してスティックを握るレギュラーグリップに、スネアドラムをたたく時に右手のハイハットを止める独特のオールドスタイルのドラミングは唯一無二で、世界中のドラマー憧れのスタイルとなった。ジャズをルーツとし、自らを「ジャズドラマー」と公言。ジャズバンドを率いてアルバムも発表している。

ミックとキースがロック志向の中、ジャズやブルース、ラテンなどのテイストを加えた。幅広い音楽性で世界最高峰にまで上り詰めたバンドに、なくてはならないピースだった。訃報を受け「チャーリーのいないストーンズなんて…」「一時代が終わる」など、悲しみの声が広がっている

◆ザ・ローリング・ストーンズ 幼なじみだったミックとキースらで62年に結成し、翌年デビュー。「サティスファクション」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「アンジー」など数々の世界的ヒット曲がある。同年代で優等生的なビートルズと常に対比され、アウトロー的なイメージで人気を得た。解散は1度もしていない。デビュー当時のメンバーのうち、ブライアン・ジョーンズは69年に脱退し、同年死去。ビル・ワイマンは93年に脱退した。現在は76年に加入したギタリストのロン・ウッド(74)を含む4人体制だった。

◆ワッツさん追悼コメント◆

▽ポール・マッカートニー(元ビートルズ)本当に悲しいよ。ロックで、素晴らしいドラマーで頼りがいのある人だった。愛しているよ、チャーリー

▽リンゴ・スター(元ビートルズ) 神のご加護をチャーリー・ワッツに。あなたがいなくてさみしい

▽ブライアン・メイ(クイーン) ああ、なんてことだ。彼の家族、そして愛する家族同然であったキース、ミック、ロニーに心からお悔やみを申し上げます

▽エリック・クラプトン(英ギタリスト) グッドナイト、スイートプリンス…(おやすみ、優しき王子よ)

▽エルトン・ジョン(英歌手) とても悲しい日だ。最高のドラマーだった。最もスタイリッシュな男で、とても素晴らしい仲間だった

▽ジーン・シモンズ(キッス) チャーリー・ワッツの家族、ファン、そして友人たちの深い悲しみに同情申し上げます

▽ブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズ) ショックを受けている。何と言っていいのか。チャーリーはすばらしいドラマーで、ストーンズの曲は大好きだった。

▽シェリル・クロウ(米歌手) ヒーローが逝ってしまった。言葉にならない。宇宙にぽっかりと、大きな穴が開いてしまった。

▽デュラン・デュラン 亡くなったと聞いてとても悲しい。1960年代以降、多くのドラマーにとって大きなインスピレーションだった