NHK大河ドラマ「青天を衝け」(日曜午後8時)で、主人公・渋沢栄一を演じる俳優吉沢亮(27)が、このほどオンラインで取材会を行った。

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック期間中の一時休止を経て、12日放送の第26回「篤太夫、再会する」から物語が本格再開する。劇中の時代も江戸から明治へと移り、栄一は大蔵省へと仕官。やがて下野し、目指す民間改革に取り組むことになる。

日本経済の礎を築いた栄一の活躍が描かれ、吉沢は「皆さんがよく知る功績がどんどん積み上がっていく。栄一的に言うと、“ここからが渋沢栄一の本領発揮”というところ」と説明。同時にせりふもレベルアップしており「経済の話になってくると、マジで何を言っているのかちんぷんかんぷん(笑い)。単語自体も聞き慣れない、言い慣れない言葉が多かった」と明かす。

作中で栄一は、心が躍るさまを「おかしれぇ」「胸がぐるぐるする」と表現。その感覚に正直に生きてきたが、関わる人も増え周囲との駆け引きを覚えることになる。吉沢は「正しいことに突き進むことは変わらないけれど、そのためには自分の道理から外れたこと、何かを切り捨てることを致し方なくやるという汚さを覚えたことは意識した」。その変化については「大人になったなという気がする。無邪気だった少年がこんな大人になっちまったか、という寂しさを感じてもらえると思う」とも話した。

1年以上同じ役を演じ「僕の体の中に栄一役が染み付いている。意識とは違うところで栄一が出てくる。ただそこにいるだけで栄一になれるのは、大河ならでは」。オンとオフの切り替えは得意だと感じていたが「セットに入った瞬間にそう(栄一に)なっているのは面白い経験でした」と振り返った。

共演陣についても語った。栄一と生涯にわたり厚い信頼関係を結んだ徳川慶喜役の草なぎ剛(47)について「この業界に入る前から見ていた大スター。栄一の慶喜に対する尊敬と、吉沢亮が草なぎさんに感じる尊敬はリンクしているものがある」。橋本愛(25)演じる妻・渋沢千代の存在については「偉大です。どんな時も味方でいてくれる。家に帰ったらお千代がいて、『お前様』と言ってくれる」といい、橋本の演技にも「一緒にお芝居をしていて、母性というか、安心させてくれる何かがある。栄一の話を聞いている時の表情がすてきで、話していてもリラックスしてくる」と信頼を語った。

明治に入り、栄一は改革に突き進む。吉沢は「栄一をヒーローと思う人もいれば、理想を語っているだけだという人もいる。人物像がより人間らしく、より生々しくなっていくのかな。やっていて楽しいです」と魅力を語った。