尚玄(43)が5日、都内で開催中の東京国際映画祭ガラ・セレクション「GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮)」舞台あいさつ&ティーチインで、ボクシングシーンで相手が出した鼻血は本物だったと明かした。

「GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮)」は、義足のため日本でのプロボクサーへの道が閉ざされた津山尚生がフィリピンへ渡って挑戦を続け、くじけず目標に向かう物語。尚玄は劇中で、プライベートでも親交のある実在のボクサー土山直純氏(39)をモデルにした津山を演じた。

尚玄は、本物のボクサーさながらの、鋼のような肉体を作り上げた。観客から肉体作りのためにボクシングをどれくらいやったかと聞かれると「ボクシングは、出演が決まってから1年くらい、週5、6日やっていた。この映画は(コロナ禍で)撮影が去年3月に1回止まり、今年の6月から再開…ボクシングは、ずっとやっていますね」と説明した。その上で「体は、やっていれば誰でも出来る。気持ちを切らさないよう…ボクサーと一緒にいたりする方が大事だった。ボクサーに対してリスペクトがあった」と続けた。

その上で、劇中の試合について「ガチンコ。撮影の後、アザとかも残った。最初の対戦相手の鼻血を出したシーン…左フックが当たって出た本当の鼻血で、3回の予定が1回で終わった」と明かした。フィリピンの世界的な名監督ブリランテ・メンドーサ監督(61)は台本を渡さない演習で知られ「アクションの際、手を合わせることを許さなかった。だから、スリリングだった」と振り返った。

映画の製作の経緯については「映画化したいとナオに話したのは14年…7年かかった」と説明。その上で「もともと、彼はサッカーもやってボクシングもやって、プロになれなくてフィリピンに渡って、プロボクサーになった。自分自身、俳優の機会を得るため海外に行っているので、自分に重ね合わせた。ナオの人生と自分の人生を重ね合わせた、大切な作品になったと思う」と土山氏との絆を強調した。

メンドーサ監督は、撮影前から丁寧に関係を作ってくれたという。「撮影の半年前からフィリピンに何度も招いていただき、話をした。互いにどういう人生を歩んだか、共有し合った。ナオとの人生を重ねたところを物語にしてくれた」。その上で「台本のない監督で有名ですけど、その場で言われても信じて(役を)生きるだけだった。素晴らしい体験をさせていただいた」と、監督への厚い信頼を強調した。