米テキサス州ヒューストンで5日に行われた音楽フェス「アストロワールド・ミュージック・フェスティバル」で観客がステージに殺到して8人が死亡したことを受け、主催した米人気ラップ歌手トラビス・スコット(30)が葬儀費用を全額負担する意向を示した。

スコットの代理人が8日に声明を発表し、「ヒューストン市、法執行機関、地元の救急・消防署と緊密に話をしており、事故に巻き込まれた人々やその家族とも敬意を持って適切に連絡を取り合っている」とコメントした。

メンタルヘルスのオンラインサービスと連携し、全ての参加者が必要とする治療を受けられるよう支援することやこの日の入場者とキャンセルになった翌日のチケット購入者に対して代金の払い戻しをすることも合わせて発表した。

ステージの前に大勢の観客が押し寄せてパニックになり、負傷者が出た後もスコットは30分間にわたってステージでパフォーマンスを続けていたことが分かっており、公開された複数の動画でも救急車が会場に到着し、負傷者が手当を受けている最中も歌い続ける様子が映っている。

また、一部ビデオでは危険を察知した参加者がスタッフに駆け寄ってショーを中止するよう懇願する様子や助けを求める人の叫び声なども確認でき、警察は殺人事件を視野に捜査をしている。脳を損傷して意識不明の重体となっている9歳の少年の家族など現時点で巻き込まれて負傷した少なくとも7人がスコットやイベント責任者らを訴えており、スコットは「暴動と暴力を扇動した」として計数百万ドルの損害賠償を求められている。

この事故でおよそ300人が負傷し、20人以上が入院して治療を受けている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)