樫本琳花(20)が4日、東京・池袋シネマロサで行われた初主演映画「アリスの住人」(澤佳一郎監督)初日舞台あいさつで満員になった客席を見渡し「この光景を見たかったので、満席になってうれしいです」と感激した。

「アリスの住人」は、今年で18回目を迎え「孤狼の血 LEVEL2」の白石和彌監督、「浅田家!」の中野量太監督、「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督、「岬の兄妹」の片山慎三監督ら、日本映画界で今後を期待される監督たちを多数、輩出してきた、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021の国内コンペティション長編部門招待作品。澤監督が、事情があって家庭医で生活できない子どもたちを、里親や児童養護施設職員など経験豊かな人が養育者となり、その家庭に迎え入れて養育する、里親制度を発展させ、08年~施行された制度「ファミリーホーム」と児童虐待をテーマに原案、脚本、編集まで務めた。

樫本は劇中で18歳の港つぐみを演じた。幼少期に父から性的虐待を受けたつぐみは、その事実を母に告げられなかった後悔とトラウマに今もとらわれ、自分が大きくなったり小さくなったりバランスが分からなくなる「不思議の国のアリス症候群」に悩まされていた。ファミリーホームで他社と共同生活を送りながらも、SNSで男たちと知り合っては手淫でお小遣いを稼ぐ日々を過ごすという複雑な役どころ、しかも主役に初挑戦した。

樫本は壇上で、澤監督からファッション誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルから女優に転じたと紹介された。14~18年まで同誌の専属モデルとして活動し、クボタのウェブ広告や小田急箱根フリーパス、ユニクロの広告にも出演したが、19年から熱望して女優に転じた。同監督は「(樫本は)役者がやりたくてワークショップに参加し、1年前に撮影しました。4回くらい、ワークショップに参加してもらって1、2回目は印象に残らなかった。3、4回目、脚本を持つとガラッと変わって、この人かなぁと思った」と評した。

舞台となった、ファミリーホームの“ママ”加茂朋恵役の、しゅはまはるみ(47)の存在は大きかったという。樫本は「ファミリーホームのママは、しゅはまさんしかいなかった」と笑みを浮かべた。