尾上菊之助(44)、長男尾上丑之助(8)が19日、都内で、「二月大歌舞伎」(同1~25日、東京・歌舞伎座)の第3部「鼠小紋春着雛形 鼠小僧次郎吉」の取材会を行った。貧しい人に奪った金銀を分け与える義賊、鼠小僧こと稲葉幸蔵を菊之助が、蜆売り三吉を丑之助がつとめる。

江戸時代、河竹黙阿弥によって書かれた作品で、明治以降は代々の菊五郎が演じてきた。

菊之助は「因縁や宿命の話で、なぜ鼠小僧になったのかという発端が描かれています。どうしたら笑って生きていられるか、明るく生きていけるかが描かれている」と話し「令和の鼠小僧をつくっていきたい」と語った。

丑之助は「せりふは全部覚えました」と頼もしく語り「どういう風に言うかとか、言い方はまだ整えていないです」と、稽古に励んでいるとした。

丑之助が昨年亡くなった祖父中村吉右衛門さんについて「『夏祭浪花鑑』でおんぶしてもらった思い出があります」と振り返ると、菊之助も「これからも丑之助の成長を見守ってもらえるよう、天国にいる岳父に褒めてもらえるようつとめたい」と話した。

昨年は子役の大役と言われる役をつとめ、成長を見せた丑之助。菊之助は「彼のバイブルは『かぶき手帖』で、いつも持ち歩いています。私より詳しくなっているかも」と、毎年発行される歌舞伎のデータブックを必携していることを明かした。丑之助は「名前や写真をいっぱい見ています」。