19年6月に救急搬送され、血液のがんの一種、症候性多発性骨髄腫を患い、当初は「余命半年」とも宣告された漫才師の宮川花子(67)が3日、相方で夫の大助(72)との二人三脚で闘病してきた様子をつづった「あわてず、あせらず、あきらめず」の出版会見をオンラインで行った。

2月3日の節分にあわせて「福を呼び込もうと」会見日を設定。今も週1回の通院、抗がん剤治療を続けつつ、復帰へ準備を進めており、花子は「これ、決して遺作品ではありませんので、私の希望をのせてますんで」と笑顔で語った。

花子は19年6月に救急搬送され、その先で多発性骨髄腫と判明。著書には闘病に加え、夫婦の出会い、漫才への思いも書き込んだ。

「入院した頃に大助君が『日記でも』と言うてくれたけど、首から下が動かんかった。はしも鉛筆も持たれへん」

趣味の手芸、絵ももちろんかけなかった。入院直後は車いすへのるのも、3人がかりで力を借りた。が、今はリハビリを経て「握力10キロぐらいまで」戻り、はしを手に食事もできるし、趣味の手芸作品は進む。車いすでトイレにも行ける。自宅の2階まで自力で上がれるようになった。

著書には退院後から着手し「1年半かかりました」。会見にあたり、大助は早起きだったそうで「朝起きて、本を読み返して…」と言い、涙。花子はすかさず「あんたが泣いたらあかん言うたんやん!」とつっこんだ。さすがの夫婦漫才の呼吸で笑わせつつ、近況も報告した。

昨年、新型コロナウイルスのワクチン接種を受け、その影響で、病気の数値が悪化。“再発”状態となり、再び抗がん剤治療を受けている。病気については、一昨年末に会見して公表したが「あの時は治るもんやと思ってた。いけるもんやと思ってた。でも、だんだん勉強して、この病気は治らないと知りました。でも、これからも薬と、日進月歩で闘います」と正直に吐露。病と闘う決意の強さをあらわにした。

化学療法を経て、今は体調も安定し、状態もいい。副作用は「ホットフラッシュぐらい。汗がね、びしょびしょで。いや、これ更年期障害ちゃうか? って、先生に聞いたら『とっくに終わってるわ!』って」と笑わせた。

今後は、講演会などの仕事を中心に再開させていくが、昨年12月19日に奈良県生駒市で、約2年半ぶりに舞台出演。闘病前と変わらぬ達者な口ぶりで客をわかせたが「翌日は寝込みました」。大助によると、テンションが上がりすぎて、帰宅してもそのままだったという。ただ、そこは、舞台で生きてきた芸人。「むちゃくちゃ楽しかった。私には帰ってくる場所がある。幸せを実感した」とも。

最終的な目標は、今も変わらず「NGKのセンターマイク」。本拠地の笑いの殿堂、大阪・なんばグランド花月での漫才だ。「今は遠い夢」と言うが、治療、リハビリへの前向きな取り組みは変わらず、前進する。