タレントいとうあさこ(51)佃典彦(58)が5日、都内で、映画「鈴木さん」(佐々木想監督)の公開記念舞台あいさつに出席した。

同作は、45歳以上の未婚者は市民権を失うという条例が制定された街を舞台に展開されるディストピア映画。

いとうは、介護施設を営み、45歳を目前に控える未婚のよしこ役を演じる。初主演作について「最初ご本(台本)を頂戴した時に、すごいリアルだなと思った。どんな時代変わってもこの感覚って人間の根底にあるもの」と印象を語った。

撮影時に46歳だったといい、「(役柄の年齢と)ほぼ近いし、遠からずああいう扱いを受けてきた。『あれなんで1人なの?』って。(そういう扱いが)普通にあったので、国を出ろとは言われていないけど、経験が何度もあったので、なんでしょうね。そのままいたらあーなったっていう感じですね」と振り返った。

撮影時に使用した施設に住み込んでいたといい、「朝起きて、おはようございますっていって、そんなしゃべらないで、野良猫なでたり。家族みたいでした」と撮影時のエピソードを明かした。

TBS系連続ドラマ、日曜劇場「DCU」(日曜午後9時)などドラマでも活躍する佃について、いとうは「ご近所さんみたい。ドラマ出ていると、家族が出ているなって勝手に感じています」と親近感を抱いているという。

施設に迷い込む身元不明の中年男性役を演じる佃は、いとうについて「バラエティーで拝見するいとうさんではないぞと。ぼくの知っているいとうさんではないぞっていう感じでした。目つきがね、ちょっとね、怖かった。映画見ると怖いですよね。ちょっと狂気が入っている」といとうの新鮮な一面を話した。そして、「佐々木監督の作品はなかなか似たものがない唯一のもの。それに出させていただいたことが光栄」と喜んだ。

いとうは「いろいろな圧がかかる世の中ですけど、自分が信じたもので元気に生きていただきたい。私も元気に生きるので、皆さんも元気にいきていただきたい」と呼び掛けた。

佐々木監督も出席した。

同作は、第25回ブチョン国際ファンタスティック映画祭や、第11回北京国際映画祭などで映画賞を受賞するなど反響を呼んでいる。