新型コロナウイルスの感染者が確認され、幕開けが先送りになっていた宝塚歌劇団宙組トップ真風涼帆主演の「NEVER SAY GOODBYE-ある愛の軌跡-」が28日、兵庫・宝塚大劇場で、23日遅れて初日を迎えた。

劇団5組中、最長キャリアのトップ真風は06年入団。ラインダンスで初舞台を踏んだのが、今作の初演公演だった。和央ようか・花總まりの退団公演で、真風は、開幕前の取材で「とても思い入れのある作品で、身の引き締まる思い。光栄なチャンスをいただけた」と意気込んでいたが、開幕予定だった5日の4日前に中止が決定。中止期間の延長を繰り返し、やっと初日の幕を開けた。

舞台はファシズムが台頭してきた1930年代半ば、ハリウッドの華やかな世界から物語が始まる。カメラマンのジョルジュは、映画「スペインの嵐」現地ロケのためスペインへ渡り、内戦に巻き込まれていく。

カメラマン役に、真風は「カメラの扱いも基礎から研究」して、備えてきたといい、戦場カメラマンに関する記事も読み、役柄へ心を寄せてきた。カメラを置き、戦いへ身を投じていくジョルジュを熱演。フランク・ワイルドホーン氏による劇中歌にも挑んでいる。

ジョルジュに共鳴し、ともに歩むことになる劇作家キャサリンは、トップ娘役の潤花が好演。壮大なナンバーを情感たっぷりに歌い上げ、キャサリンの孫と2役に臨む。

2番手スター芹香斗亜(せりか・とあ)は、闘牛士としての熱さを内戦へもぶつけていく役どころ。安定感が増すばかりの歌唱力も存分に発揮している。人気スター桜木みなとは、ソビエトを後ろ盾にしてファシズムとの戦いに挑むが、破滅の道へ進んでしまう難役をこなしている。

前日27日には、通し舞台稽古が行われ、宙組組長の寿つかさは「感染予防対策を第一に、務めてまいります」。真風も「明日の初日から千秋楽までよろしくお願いします」と、完走を誓い、開幕へ備えていた。

宝塚大劇場公演は3月14日まで。東京宝塚劇場は4月2日~5月1日。