文化放送開局70周年を記念した「海援隊・南こうせつ・さだまさし・グレープ セイ!シュン コンサート」が6日、東京・丸の内の東京国際フォーラムホールAで開催された。出演者は文化放送と長らく関わってきたそうそうたるアーティストで、約5000人が詰め掛けた。

海援隊の武田鉄矢(72)は「このメンバーでのジョイントは珍しいです。久しぶりのライブで(コロナ禍の)トンネルを抜けたような気持ちです」と喜んだ。千葉和臣(70)中牟田俊男(72)と3人で「贈る言葉」「母に捧げるバラード」「思えば遠くへ来たもんだ」などを歌った。

文化放送の開局年と同じ52年生まれのさだは10日に70歳を迎える。「完全なる同級生、同学年。節目にお招きいただき恩返しのつもりで頑張ります」と、「案山子」「道化師のソネット」を歌った。この日は8年ぶりに吉田政美(69)とのデュオ、グレープを復活させ「精霊流し」も披露した。さだが「グレープは楽しいです。あなたは?」と問うと、吉田は「楽しいのは君だけ(笑い)」と突っ込んだ。

昨年11月に死去した作詞家の喜多條忠さん(享年74)と文化放送で出会い、名曲「神田川」が誕生したこうせつ(73)は「近くの喫茶店でいろいろ話しました。で、いつか2人で大きいことをやろうと、大風呂敷を広げて話していた」と当時を懐かしんだ。「神田川」「青春の傷み」「好きだった人」などを歌った。

コンサートではロシアのウクライナ進攻への反戦歌も歌われた。こうせつが、かぐや姫時代の反戦歌「あの人の手紙」を歌った。1枚の召集令状で戦争に借り出された愛する人の、死を伝える手紙を受け取る絶望を歌った。さだは当初予定していた「北の国から」に替えて、6月の新アルバム「孤悲(こい)」に収録される新曲「キイウから遠く離れて」を歌った。キイウは、これまでロシア語読みだったウクライナの首都キエフのウクライナ語読み。あなたが銃で撃つのは自分自身の自由と未来だ、と歌う。こうせつは「この21世紀に…。祈るのみです」と絞り出すように話した。さだは「早く安心して生活できる空間になってほしい」と願った。

アンコールでは「あの素晴らしい愛をもう一度」「翼をください」を全員で合唱した。【笹森文彦】