NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)で、鎌倉の世を強く生きる八重を、新垣結衣(33)が好演している。このほど新垣がオンライン取材会を行い、初出演となった大河への思い、「報われた」という脚本三谷幸喜氏の言葉について語った。

主人公北条義時(小栗旬)の幼なじみであり初恋の人で、源頼朝(大泉洋)の最初の妻という役どころ。源氏と平氏の争いの中で頼朝と別れ、家族を失い、それでもたくましく生きる女性を演じている。大河初出演で「成長できたかは分からないけれど、経験としては1つ自分の実になった」と話す。時代劇をほとんど見たことがなく、その時代への共感は難しいと想像していたが「身近な人が亡くなって悲しいとか死への恐怖、嫉妬する思い、人を好きになる思いは変わらない。歴史上の人物にはどこかフィクション感があると思っていたけれど、実際にいたんだと感じられた」と語る。

小栗とは09年放送のTBS系ドラマ「スマイル」以来13年ぶりの共演となり「これだけ長い時間を一緒に過ごせて、役柄としても向き合えて光栄でした。周りを見ているし、気に掛けてくださる印象は当時から変わらないです」。これまで義時の好意に素っ気ない態度を取ってきた八重だったが、3日放送の第13回ではその気持ちに応えるシーンが描かれた。義時の「振り向かなくても構わない。背を向けたいのならそれでもいい。私はその背中に尽くす」というけなげなせりふは、多くの視聴者の胸を打った。新垣は「2人の関係性が変わる大事なシーン。小四郎(義時)の表情がすてきでした」と振り返った。

頼朝を巡り、小池栄子演じる北条政子とは一時ライバル関係となったが、嫉妬やおびえをたたえた小池のみずみずしい演技に「政子にも少女だった時代があったんだと改めて感じて、刺激を受けました」。政子を筆頭に、頼朝の愛人の亀(江口のりこ)、北条時政の妻りく(宮沢りえ)と、意見を持った女性が続々登場し「時代考証の先生から、この時代の女性たちは強かったと聞いた。頼もしい人たちが描かれているし、それが当たり前だったのだとしたら、いいこと。とても魅力的です」と語った。

自身を取り巻く環境や立場が変わっても、置かれた場所で力強く生き「八重さんのいいところは意志の強さだと思ったので、そこは貫きたいと思った。自分の大事なものが揺らがない、その雰囲気を大切にできたらいいなと思いました」。芝居については「反省ばかりです」と省みたが、三谷氏からかけられた言葉も明かし「『自分が思い描いた以上の八重さんだった』と言っていただいた。それで全部報われたし、安心しました。そう言っていただけてよかった」と充実の笑みを浮かべた。【遠藤尚子】