搭乗した航空機に乗り合わせた乗客を殴打する動画が21日に公開されて波紋を呼んでいるプロボクシング元統一ヘビー級王者マイク・タイソン氏(55=米国)が、その数時間前に大麻関連のイベントに出席し、会場でジョイント(紙巻きたばこ状の大麻)を吸っていたことが明らかになった。

20日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「大麻の日」を祝うイベント「420 ヒッピー・ヒル・フェスティバル」に出席し、自身の大麻ブランド「タイソン2.0」の宣伝を行っていたほか、自殺防止活動をする非営利団体の代表者にイベントの賞を授与する役も務めていたと、米ワシントン・ポスト紙が報じた。

イベントに参加したUFC史上4人目となる2階級同時王者で、北京オリンピック男子レスリング・フリースタイル金メダリストの元格闘家ヘンリー・セフード氏が、自身のSNSにジョイントらしきものを手にするタイソン氏との2ショット動画を投稿しているほか、英デイリー・メール紙も会場でジョイントを吸うタイソン氏の姿を写真入りで報じている。カリフォルニア州では嗜好(しこう)用大麻は合法で、21歳以上の使用が認められている。事件が起こる1時半ほど前にも、空港の外でジョイントを吸う姿が目撃されていたという。

このイベントに出席後、サンフランシスコ空港からフロリダ州に向かう飛行機に搭乗し、機内で後部座席にいた男性乗客とトラブルとなり、顔面を殴打する様子が撮影された。タイソン氏の代理人は、酔った男性乗客が挑発的な態度で接近し、飲料水入りのペットボトルを投げつけるなど嫌がらせを受け続け、忍耐力が限界に達したと釈明していた。タイソン氏と男性乗客は身柄を拘束された後、釈放されたといい、逮捕や起訴の可能性は分かっていない。

また、殴られて流血するけがを負った36歳の男性乗客は過去に、個人情報の窃盗、麻薬関連器具の使用及び所持、詐欺など複数の罪で有罪となった前科があり、2019年には大規模な窃盗の罪で25カ月の懲役が言い渡されていたとUSAトゥデイ紙など複数のメディアが伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)