日本のロック黎明(れいめい)期をけん引したレジェンドのギタリスト鈴木茂、ベーシスト小原礼、ドラマー林立夫、キーボーディスト松任谷正隆(4人とも70歳)によるロックバンド、SKYE(スカイ)が30日、パシフィコ横浜のライブに参加した。19年に結成し、21年にアルバム「SKYE」でメジャーデビューした“大型新人”だ。

当初は、前日29日に全身がんによる肝不全のため73歳で死去したシンガー・ソングライター小坂忠さんが出演し、自身の曲「機関車」を歌唱する予定だった。

松任谷は曲紹介の前に、小坂さんとの思い出を語った。出会いは約50年前の大学生の時。いきなり、小坂さんのライブレコーディングに参加することになり「緊張で2日間、寝られなかった」と振り返った。

SKYEのメンバー4人が初めて会ったのも「忠さんのコンサートだった」。小坂さんが大病を患っていることを知った18年にはライブで共演。「初めて忠さんと正面から対応しました」。

小坂さんから10日ほど前に電話をもらったことも明かした。「それまでは『機関車』を歌いたい、最後のステージだろうと言っていたが、電話では『立ち上がることができなくなった』と。だから、携帯(電話)でベッドの上の忠さんにこの曲を聞かせるつもりだった。でも残念ながら昨日、天国に行かれてしまいました。もし、忠さんが『機関車』を歌ったら、どれくらい、人の心をえぐるような、感動を与えたか…」と追悼した。

「機関車」は小坂さんが指名した、さかいゆう(42)が代わりに歌唱し、天国に届けた。

ライブには松任谷の妻、松任谷由実ら13組のアーティストが参加、約3000人が客席を埋めた。