乃木坂46が5月14、15日、横浜・日産スタジアムで、デビュー10周年記念ライブ「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」を開催した。初日公演に卒業生の生駒里奈(26)伊藤万理華(26)がサプライズ出演し、会場を沸かせた。2人の“やり切り力”に、プロの魂を見た。

生駒の登場はファンに衝撃を与えた。6曲目が終わると、モニターに「もうやらないと思ってました。でも、今日だけは特別に。」と映し出され、「生駒里奈」と名前が浮かび上がると、客席を埋めたファン7万人は大きくどよめいた。ステージ後方から登場すると、秋元真夏(28)や齋藤飛鳥(23)ら、同期の一期生と肩を組み、笑顔を見せた。そして「制服のマネキン」のイントロが流れると、ファンの興奮は最高潮に達した。

さらに、17曲目の「ここにいる理由」。縦一列に並んだメンバーが次々と素早く左右に動くと、奥にポーズを決めた伊藤が待ち構えていた。続くサプライズに、再び客席はどよめいた。

そもそも、乃木坂46のライブに卒業生が出演するのが異例だ。14年2月に行われたデビュー2周年記念ライブ、アンコールに岩瀬佑美子と宮澤成良が私服で登場し、メンバーとともに楽曲を歌ったことはあった。だが、楽曲衣装を着ての本格的パフォーマンスとなると、10年の歴史で今回が初めてだ。

さらにファンを驚かせたのは、生駒と伊藤のパフォーマンス力だろう。キレのあるダンスと、表情を変化させる表現力は、現役時代と変わらないどころか、それ以上? と思わせてしまうほど。体形も変わらず、今すぐアイドルとしてステージに立っても全く遜色ない若々しいルックス。関係者も「2人とも仕上がっていましたね。相当、気合が入っていたんだと思います」と満足げだった。

アイドルを卒業し、女優やタレントとして活動すると、再びアイドルのステージでパフォーマンスを披露するのに抵抗があるというメンバーもいるだろう。だが2人だけでなく、2日目公演にサプライズ出演した西野七瀬(28)や白石麻衣(29)生田絵梨花(25)松村沙友理(29)高山一実(28)も、全力パフォーマンスで魅了した。一夜限りではあるがアイドルとして“やり切る”ライブステージには、「やるからにはとことんやる」という高いプロ意識を感じた。

初日公演に立った生駒は、アンコールで会場の花道を1周して「遠い!」と叫び、伊藤も「長い!」と訴えて笑わせた。そして生駒は「ここに立ってるこの子たち、マジですごいよ!」とアピールし、伊藤も「拍手~!」と現役メンバーを立てた。

18年5月に卒業した生駒は「10周年節目にこういう形で呼んでいただいてすごくうれしかった。うちらは卒業が結構前だったので、知っている人いるのかなと正直不安だったんです。すごくうれしかったです」と拍手を浴びた。17年12月に卒業した伊藤も「10周年、こんなステージに立てるなんて思ってなかったので。皆さんの表情を近くで見て、乃木坂ってこれだけ愛されているんだと思って、心がじんわりしました」と笑った。

伊藤は「これからも、乃木坂も、乃木坂を卒業していく人たちも、これからいろいろ進んでいく私たちも、応援よろしくお願いします」と頭を下げた。そしてラストの「乃木坂の詩」を前に、あくまでライブの主役は現役メンバーだと言わんばかりに、生駒と2人で肩を組んで、ステージから去っていった。乃木坂46の歴史に欠かせない2人らしく、メリハリのきいたステージとトークで10周年に花を添えた。【横山慧】