宝塚歌劇団の月組トップ月城かなとが25日、都内で、相手娘役の海乃美月とともに、月組の次作本拠地作「グレート・ギャツビー」製作発表に臨み、当代きっての芝居巧者コンビとして、さらなる進化を誓った。

真っ白なスーツの月城、さわやかなドレスの海乃。この日、パフォーマンスも披露し、月城は「歌うときには芯を決めて歌おうと思っています」。抑揚をつけた歌唱力も発揮した。

原作は、スコット・フィッツジェラルド氏の著名作。劇団演出家の小池修一郎氏が、91年に雪組で「華麗なるギャツビー」として初演し、08年には月組で再演。以来、宝塚3度目の上演。生涯をかけて1人の女性を愛したギャツビーの栄光と陰を描く。

小池氏も、月城・海乃コンビでの再演に「月城は歌の中にも表現力が光る。(海乃との)コンビで芝居の月組を発揮してくれる」と期待。この日は出席していないが、月組には、実力派の人気スター鳳月杏、下級生時代から高い演技力で注目された風間柚乃ら演技派がそろう。

期待値の高まりを感じた月城は「プレッシャーも感じますが、やりがいも強く感じます」。海乃も「ギャツビーが一生をかけて愛した女性をどう演じるか」と考え、役作りに励む。

主人公ギャツビーは戦争から帰還後、最愛の女性の結婚を知り、失意の中で再起。成功を収めるが、素性には謎が多くあり、複雑なキャラクターだ。

月城は、今年1月の「今夜、ロマンス劇場で」で、海乃との新トップコンビ本拠地お披露目。前作では頼りなさの中に筋の通った青年を好演。海乃はモノクロ映画から飛び出したヒロインを体当たりで演じ、評価を高めた。

今回が本拠地2作目。月城は「お互い、何かを作っていくことに対して、2人の目指す方向が合わせやすくなってきた。2人で同じものを作ることが、やりやすくなってきたかなと思います」と手ごたえ。今作には「単なるラブストーリーではない。これまでいろんなことに挑戦してきた2人だからこそ、できるラブストーリーを作っていきたい。この作品をへて、また2人で作れる作品の幅が広がっていくんじゃないかな」とも言い、さらに新境地が開けそうだという。

そんな月城に、海乃は「本当に表現力が豊か。イメージされる力も人一倍で広い。とても尊敬しています。おひとりで考えるのではなく、共有してくださる。私に限らず、月組の皆が同じ方向へ向かっていける」と懸命に寄り添い、進む。

上演は兵庫・宝塚大劇場で7月16日~8月22日、東京宝塚劇場で9月10日~10月9日。