5月30日に、ハロー!プロジェクト(ハロプロ)のアイドルグループJuice=Juiceの稲場愛香(24)が東京・日本武道館での「Juice=Juice CONCERT TOUR~terzo~FINAL 稲場愛香卒業スペシャル」をもってハロプロおよび、グループを卒業した。誰からも愛される気遣いの人である、稲場らしさのつまった卒業公演だった。

同公演は、Juice=Juiceにとって春ツアーの千秋楽だった。最初のMCで、皆がその発言に注目するなか、稲場は「いよいよ今回のツアーの大千秋楽を迎えるということで、そして私にとってはラストのコンサートになるということで…ついにこの日が来てしまいました!」。続けて「もう本番なんだって、ここまであっという間だったんですけど、みんなと一緒にツアーでどんどんどんどん良いものを作っていこうっていうすてきなツアーをまわれたんじゃないかなっていう風に思う」とし、「9人の集大成をしっかりと見ていただけるようにみんなで力を合わせていきたい」と誓った。自分の卒業について触れつつも、あくまで「9人での集大成」というところにフォーカスしていたのが印象的だった。

中盤のメドレーも稲場の気遣いにあふれていた。新メンバーの有澤一華、入江里咲、江端妃咲と歌った「初めてを経験中」は、新メンバーにとって初の日本武道館公演という意味を込めたもの。工藤由愛、松永里愛と歌った「好きって言ってよ」は2人がグループに初参加した曲。井上玲音と歌った「微炭酸」は、過去に2人が企画で披露したもの。これまでともにグループを支え、これからも引っ張る存在のリーダーの植村あかり、サブリーダーの段原瑠々とは、今後のグループのことを思い、「続いていくstory」を歌った。

アンコール後に稲場がソロで披露した「もしも…」は、「あざとかわいい」とファンから評される自分を最もファンの期待通りにパフォーマンスできるという理由で選曲したという。ファン思いなところが現れていた。

さらに、最後のピンク色の衣装も、メンバーカラーのホットピンクを基調とし「あざとかわいさ」を意識して、「大人っぽくなりすぎないように」と大きなリボンを腰につけて、かわいらしさを失わないようにしたという。14~16年に在籍した、カントリーガールズ時代のメンバーカラーである赤もポイントで入れるこだわりもあった。

最後に読み上げた手紙では、カントリーガールズ時代にメジャーデビューした箇所で言葉に詰まり、涙がとまならくなった。メンバーに感謝する場面では、1人1人に稲場だからこそわかる、ありきたりではない独自の言葉でそれぞれの魅力を伝えていた。これにはほとんどのメンバーが涙していた。稲場は、涙声になりながらも最後まで、抑揚を意識してかわいらしく手紙を読み上げていた。

150センチの小さな体からは想像できないような力強いダンスが武器の稲場。今後は、ソロで活動していくという。以前インタビューした際には「演技も好きなので、舞台もやりたいな」などと話していた。激辛好きという意外な一面もある。最後まで「あざとかわいい」を全うし、9年間のアイドル人生に終止符を打った。今後の活躍が楽しみだ。【佐藤成】