阿部寛(58)が、Disney+(ディズニープラス)内の新ブランド「スター」の日本発オリジナルドラマシリーズ「すべて忘れてしまうから」に主演する。

1987年(昭62)の俳優デビューから35年で、配信ドラマへの出演は初めて。19年のフジテレビ系ドラマ「まだ結婚できない男」以来のラブストーリーで「久しぶりに日常を描く作品をやらせていただくので、自分の中で、今の年だからこそ、日常の何げなさからくる新たな発見みたいなものが、どのくらいできるのかなという自分の内面に新たに挑戦する作品になるかなと思っています」と意気込んだ。配信は9月を予定している。

「すべて忘れてしまうから」は、人気作家・燃え殻氏の同名エッセーを岨手由貴子、沖田修一の両監督、米アカデミー賞で国際長編映画賞、カンヌ映画祭で邦画初の脚本賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」で濱口竜介監督と共同脚本を担当した、大江崇允氏がドラマ化。阿部は、ミステリー作家“M”を演じる。現実から逃げたくて書いた小説が、たまたま小さな出版社の目に留まり、大した賞も大ヒット作もないまま小説を描き続けているという地味で主体性がない作家、という役どころだ。

“M”は、5年間付き合った恋人“F”とハロウィーンの夜にささいなことで、けんかをする。何となく連絡を取らないまま3週間ほどたった時、Mは周囲から促されて突如、失踪した彼女を探し始める。しかし周囲から語られるFはMの知る彼女とは全く異なるもので、次第にFの秘密が明らかになっていく。何げない日常の中で紡がれる東京という街で暮らす人たちの物語だ。

阿部は、5月に都内の小さなバーカウンターでクランクインを迎え「まだ僕もよく分かっていませんが、今回の作品はいろいろなことに挑戦しようとしているみたいなので、僕自身もとても楽しみにしています。今日は初日なので、どんなことがこれから起きるのか、どんな出会いがあるのか楽しみです」とコメントした。

台本を読んだ感想を聞かれると

「日常の小さなできごとが描かれているので、本当に小さなことなんだけど、その人にとっては結構、大きなことだったり、いつの間にか通り過ぎるような小さな瞬間が、実は自分の人生を左右する一瞬だったりするんですけど、そういう日常の細かいことを主人公が何げない会話で語っていくことが、自分の心に刺さっているとげのようなものをいつの間にか取り除いてくれるような、そんな心の優しい物語になっていくと思うんです。大きな事件だけでなく、小さなことが特別なことだったりするから、そういうのに気づかせてくれるような作品なんだと思います」

としている。また、撮影前に準備をしたかと聞かれると

「特に準備はしていないです。何作か映画を参考に見させていただいたり、原作を読ませていただいたりとか、幸運なことに台本を一気に10話までいただいたので、それを必死に読みました。あとは監督がどういう世界を作っていこうかということをどれくらい聞き出せていけるか、そして自分としてもあまり今までやったことがない、見たことがない自分が少しでもそこにいてくれるといいなと。できるだけ耳をたてて現場におとなしく存在したいなと思います」

と話している。