磯村勇斗(29)が7日、東京・ユーロスペースで行われた映画「PLAN 75」(早川千絵監督)大ヒット記念舞台あいさつで「マスコミの皆さん、すみません」と、集まったメディアに謝罪した。この日は、取材に駆けつけたメディアが多く、用意された取材席からあふれてしまっていた。磯村は登壇早々、客席に視線を送り「マスコミの皆さんが入りきらなかったと…うれしかった。マスコミの皆さん、すみません」と、席からあふれ、床にベタ座りしたメディアを気遣った。

6月のカンヌ映画祭(フランス)で新人監督賞「カメラ・ドール」のスペシャルメンションを授与されたことも話題となり、6月17日の初日から19日間で、興行収入(興収)は2億円を突破した。磯村は自身の周囲の反響を聞かれると「いろいろと俳優仲間も『見たよ』と感想をくれる」と語った。その上で、自らの友人からの感想を紹介。

「いいなと思ったのが、地方に住む同い年の友だちで、ご年配の方の中で29歳の自分が見るだけでも、グッとくると。『若いのに、なんで見に来たの?』と声をかけてもらったそうです。(友人が)何で、そういう答えをしたか分かりませんが『自分が75歳になった時の人生の選択肢の参考にしたい』と」

その上で、磯村は「答えは、どうでも良くて、若い世代が『PLAN 75』をきっかけに、映画館で交流していることが、すごく、すてきなことだと思っていて。お互いが何で見に来たのかに興味を持つことが、未来に向けて何か良いことが、この瞬間、生まれると思う」と熱っぽく語った。

「PLAN 75」は、早川千絵監督(45)の長編初監督作。是枝裕和監督(60)が初めて総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の中の、7分程度の1編を、早川監督が新たに構築してオリジナル脚本を手掛けた。キャストも一新し、倍賞千恵子(80)が9年ぶりに主演。劇中で倍賞は角谷ミチ、磯村勇斗(29)が市役所の<プラン 75>の申請窓口で働く岡部ヒロムを演じた。カンヌ映画祭では「ある視点部門」に出品された。1961年(昭36)に映画「斑女」でデビューした倍賞の主演映画が、カンヌ映画祭に出品されるのは初めて。日本人監督の作品が同部門に出品されたのは、17年の黒沢清監督「散歩する侵略者」以来5年ぶり。日本人女性監督としては、15年に「あん」がオープニング作品に選ばれた河瀬直美監督以来2人目だった。

磯村は舞台あいさつの最後に「たくさんの方に見ていただいて、ヒット御礼舞台あいさつをさせていただくのも、なかなかないこと。ご年配の方が見ていると思うんですけど、自分たち世代の若い人にも知って欲しい、社会、世界に関心を持って欲しい。何でもいいんですけど、広めてもらえるとうれしい」と力を込めた。