宝塚歌劇団の雪組トップ彩風咲奈が21日、冒険旅行へ向けて“再出港”した。雪組公演「ODYSSEY(オデッセイ)-The Age of Disvovery-」がこの日、大阪・梅田芸術劇場で開幕。彩風は「再出港へ向けて、たくさんのお力添えをいただき、ありがとうございました」と感謝した。

「長い冒険旅行」を表す「オデッセイ」をタイトルにした今公演は、当初は今年1月、彩風の新年初作品として東京国際フォーラムで上演予定だった。しかし、初日直前に、新型コロナウイルス感染者が出て、全日程が中止になっていた。

宝塚歌劇では、年間スケジュールがすでに組まれており、途中で組み込むことは容易ではないが、今回は、半年後に場所を梅田に代えて仕切り直しが実現。演出の野口幸作氏も「奇跡」と言う“再出港”だった。

大航海時代にカリブ海で消息を絶った伝説の海賊船「オデッセイ号」がよみがえり、始まるストーリー。美しき海賊王率いる海賊たちが、世界の国々をめぐり、次々にパフォーマンスを繰り広げていく。

2部構成で、1部は「海風」をテーマにしたダンス・ショー。2部は「彩風」をテーマに名曲を歌い継ぐレビューになっている。

彩風は幕開きでワイルドな海賊船の船長にふんし、各国をめぐる設定の中で、スーツに黒えんび、軍服にアラビア衣装と華麗な変化を見せ、途中、マーメイドにふんした“女装”でファンを驚かせた。

仕切り直しの半年の間に、トップ娘役朝月希和が退団を発表し、朝月にとっては“プレさよなら”になった。彩風との息の合った麗しいダンスも披露した。

人気スター朝美絢(あさみ・じゅん)も中国の場面から和装と、多彩な表現力で魅了。進境著しい縣千(あがた・せん)はたくましい男役像を提示したかと思えば、赤いドレス姿で女性にもふんし、ファンを魅了した。

公演は同劇場で、8月7日までの予定。前日20日に行われた通し舞台稽古を終え、彩風は「皆で元気に、最後まで…信じて突き進みたい」と誓い、出港した。