難病の「全身性アミロイドーシス」で闘病中の元プロレスラーで参議院議員も務めたアントニオ猪木氏(79)が28日、「24時間テレビ45愛は地球を救う」(日本テレビ系列)に出演した。猪木氏は車いすに乗って、現役時代に数々の名勝負を繰り広げた会場の東京・両国国技館に現れた。

体はやせ細り、ほおもこけて現役時代の面影はなかったが「元気ですか、元気があればなんでもできる」と、少し不自由になった右手を上げて会場に呼びかけた。

19年6月の政界引退直後の同8月に最愛の田鶴子夫人を亡くし、20年7月にSNSで前年から「全身性アミロイドーシス」に冒されていることを告白。タンパク質繊維が心臓に沈着して、多臓器不全などを発症する、数万人の1人の確率で発症する難病だった。21年1月からは感染症は腸捻転なども併発して半年以上も入院した。

「みた通りでね。必死に頑張っています。本当は起きる状態ではないんですが、私もこうやって皆さんにお会いすることで、元気をもらいました」と、久しぶりに公の場に姿を現した猪木氏は近況を報告した。

近年は自ら“最強の敵”と語る病魔との格闘が続いているが、弱々しく痩せ衰えた姿を、あえて定期的にSNSで公開し続けている。その理由について「かっこ悪い姿でも別にいいんですよ。かつてのファンはがっかりしていないんです。逆の反応で手紙には『かっこいい、かっこいいと』。この状態が何がかっこいいんだよと。でもファンの人たちは本当にありがたい。そう思ってくれている以上は頑張る」。さらに今、大事にしていることについて「そのときそのときにやりたいということを、逃げずにやる」とも語った。

猪木氏は力道山にスカウトされ1960年(昭35)に日本プロレスでジャイアント馬場さん(故人)とともにデビュー。72年に新日本プロレスを旗揚げし、プロボクシング世界ヘビー級王者ムハマド・アリ(米国)との異種格闘技戦など数々の名勝負を繰り広げた。 89年には参議選で初当選した。その後は「猪木祭り」を開催するなど格闘技のイベントプロデューサーとしても手腕を発揮。10年には日本人として初めて世界最大の団体WWEの殿堂入りした。