北島三郎(85)が芸道60年の節目を迎えている。老若男女から「サブちゃん」と親しまれる国民的スター。だが、コロナ禍でメディアなどに露出する機会が減少している。そこで、北島音楽事務所に所属する“北島ファミリー”の長女原田悠里(67)に、北島の近況や「北島と私」「北島ファミリー」について語ってもらった。“サブロス”の読者に必読です!【取材・構成=松本久】

原田が「俺に咲いた花」でデビューしたのは1982年(昭57)6月5日。そのちょうど20年前に北島がデビューをした。多数いる弟子の中でもデビュー日が同じなのは原田だけだ。

-期待の大きさの表れですね

そうでしょうか? 芸能界のことを何も知らずに事務所に入って、当時は弟子にしていただける喜びだけでした。

-40年前の北島の様子は

あまりお話をすることもなく、「おはようございます」とあいさつをしたら、ギョロッとにらまれてビクッとするくらいでした(笑い)。楽屋でも声が小さくて聞きづらいんです。でも、内弟子の人たちは何を言っているのか分かって、たばこやコーヒーをさっと持っていく。これには驚きました。

-北島ファミリーには、男くさ~いイメージがあります

(山本)譲二さんは一緒にお風呂に入ったり「パンツも洗った」と言っていましたが、私は女性だからありませんでした。当時はファミリーというよりは「軍団」という感じです。

-それが少し変わってきたのは

30年くらい前だと思いますが、奥さま(北島の雅子夫人)が会社の仕事をするようになってからですね。家庭的な雰囲気を大事にしようと「ファミリーだから」とよくおっしゃっていた気がします。「北島ファミリー」は奥さま抜きでは成り立たないと思います。

-北島音楽事務所が設立されて50年。原田さんはそのうち40年もファミリーの一員。最長です

多くの貴重な経験をさせてもらいました。誰よりも「ファミリー」への感謝の思いは強いと思います。だから「やっぱり北島さんの弟子だね」って言われるようなプライドを持てるような人間でありたいし、歌手でありたいですね。

-プライドですか

はい。同時にプレッシャーでもありますけど(笑い)。

-最近の北島の様子は?

この2年以上はコロナ禍で、多くの人が大変でした。私も参ったなと思いましたけど、先生は不平不満をこぼすことって一切ないんです。自分も思うように活動できないし、いろいろ文句も言いたくなると思うんです。でも一切ない。コロナでさえ、これまで60年歩んできた中の1つの「風雪ながれ旅」なのかな。自身に降りかかってきた風であったり、雨であったり、そういうものの1つ。そんな人間の大きさを感じます。

◆原田悠里 本名・原田よしみ。1954年(昭29)12月23日、熊本県生まれ。鹿児島大教育学部卒。音楽教師となるが、北島三郎の舞台に感銘して歌手を志す。82年に「俺に咲いた花」でデビュー。代表曲にミリオンヒット曲「木曽路の女」や「安曇野」「津軽の花」「夢ひとすじ」など。NHK紅白歌合戦に3回出場。趣味・特技は陶芸、日舞、ボクササイズ。血液型A。

<北島三郎の今年の主な活動>

▼3月11~13日 福岡・博多座でファミリー公演

▼4月17~19日 大阪・新歌舞伎座でファミリー公演

▼5月13~15日 名古屋・御園座でファミリー公演

▼7月19日 東京・八王子でファミリー公演

▼10月27日 東京・中野サンプラザで「日本クラウン60周年記念 令和・歌の祭典2022」に出演

◆日本クラウン60周年記念 令和・歌の祭典2022 北島三郎、瀬川瑛子、鳥羽一郎、三山ひろし、純烈らが出演するコンサート。10月27日に東京・中野サンプラザホールで開催。