福原遥演じるヒロイン岩倉舞が、空へのあこがれを具現化させていくNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。航空学校編で、航空学校の「鬼教官」大河内守に、吉川晃司(57)がふんしている。朝ドラの収録中は、規則正しく早朝起床だが、実生活でも「普段から朝5時起きのおじいちゃん」な生活を送っているといい、充実した“朝ドラ・ライフ”を明かした。

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「朝の顔」にしては威圧感がありすぎるのでは? 吉川自身、そう思っていたが、その「圧」を求められていると聞いて納得したという。

吉川 パイロットを目指す若い学生たちの前に立ちはだかる壁、妖怪でいう「ぬりかべ」のような存在でいてほしい、と。なるほど! と。私は肩幅も広いし、壁には良いかもと納得しましたね(笑い)。

朝ドラ収録中は「朝3時半から4時に起きる」というが、実は、普段から5時起床だそう。

吉川 私は実は早起きで、ふだんから朝5時には起きています。今回の朝ドラ撮影では3時半か4時起きです。朝ごはんも6時台で、植木の手入れは欠かさずしていますね。寝るのも早く夜10時、遅くとも11時です。ロックをやって、エレキギターを弾いている以外は、基本的な生活はおじいちゃんなんです(笑い)。

演じる鬼教官には、愛ゆえの厳しさがあると見る。

吉川 訓練生に鬼教官と恐れられていますが。若者たちにしっかりした人生を歩んでもらいたいという思いがあるから。それゆえの厳しさだと思います。

当初の設定では口調も「ワイルド」だったそうだが、吉川から「言葉遣いや物腰をものすごく丁寧に礼儀正しい男にしたい」と提案したという。

吉川 口調も態度も丁寧すぎて、逆に怖いという人がいるでしょう。そういう狙いですね。また、大河内は何か武道をしていた男だったんだろうと自分の中で裏設定として決めています。空を飛ぶ前は坐禅を組んで精神統一をしていたり。私自身、鎌倉幕府や江戸幕府の指南役を務めてきた「弓馬術礼法小笠原流」を数年前から学んでいまして、そうした所作を入れたりもしています。なので少し時代劇のような動きにも見えると思うんですが、それによって威圧感が増して、より怖い印象が強くなっているんじゃないでしょうか。

福原には「すごく芯がしっかりしている」と感じ「お芝居もうまい」。若手役者たちには「今の若い世代は本当にしっかりしています」と感心する日々だ。

吉川 飛行機を操縦するシーンでは、実際に乗りながらお芝居するのですが、学生たちはまだ操縦が下手な設定なので、本当に機体がグラグラと揺れている中で演じないといけないんです。そんな過酷な状況でもきちんと演技をしているので感心します。鬼教官の役ですが、共演者の皆さんに本当に嫌われないように、本番前のリハーサルでは、笑わせるように努力していますよ!

見どころは「やはり空のシーン」だと言う。

吉川 ドキュメンタリーであれば、これまでアフリカやブラジル、ペルーなどいろいろな国に行きましたけど、空を飛びながら芝居をするというのは初めての経験です。他の飛行機もたくさん飛んでいて、旅客機の無線も全部入ってくる中でお芝居するのは難しいです。セリフを言おうと思ったら、旅客機のパイロットと管制とのやりとりが入ってくることもありました。実は高所恐怖症なんですが、空まで行くともう諦めています(笑い)。