フジテレビ「第34回ヤングシナリオ大賞」の受賞会見が29日、東京・台場の同社で行われ、市東さやかさん(30)が大賞を受賞した。

市東さんは兵庫県出身で、現在は神戸市看護大の大学院2年生。「この作品を書いて、どんどん選考が進んでいくのが怖かった。途中で誰か止めてくれないかなと思っていた。受賞の連絡もらって、腹くくれたというか、絶対やってやるぞという気持ちになれた」と喜びを語った。

2回目に書いたシナリオで、1535編の応募の中から頂点に立った。もともと、大学院入学前も看護師として従事していた。受賞しなければ来春に再び看護師を続けながらシナリオを書く予定だった。「受賞できなかったら就職しようと思っていたから就職活動を進めていた」と振り返った。

今回の受賞で“シナリオ変更”した。4月から上京し、書き手1本の生活に専念する。「大学院を卒業したら、仕事はないですが東京に行こうと思う。仕事という保険を捨ててやってみよう、と。看護師も好きな仕事。安定しているのは看護師だけど、仕事柄は自分はいつか死ぬよな、と思っていた。ここで看護師の道を選んで死んだら後悔すると思った」と話した。

昨年は生方美久さん(29)が大賞受賞。現在、話題沸騰中の川口春奈(27)主演のフジテレビ系連続ドラマ「silent」(木曜午後10時)の脚本を務めており、一躍スターダムにのし上がるチャンスだ。「専門的に学んだこともなく、それをカバーするほど作品も見てない。えたいのしれない存在に、賞をくださったフジテレビさんに器の大きさに救われている。微力ではありますが、ぜひ恩返ししたい」と話した。

次回作については「私が最近離婚したので、離婚の話にしようかな」とコメントした。

大賞受賞作「瑠璃も玻璃も照らせば光る」は来月27日午後1時45分から同局全国ネットで放送される。同作は17歳の女子高生を主人公に、今を生きる若者たちの葛藤をリアルに描いている。

受賞会見には佳作の本山航大さん(29)井本智恵子さん(36)伊藤優さん(27)も出席。大賞は賞金300万円、佳作は同50万円を獲得した。