宝塚歌劇団の初代宙組トップで俳優、姿月あさと(52)が8日、大阪・梅田芸術劇場で、「宙組25周年記念コンサート 明日へのエナジー」(来年3月3~6日=よみうり大手町ホール、同11~14日=宝塚バウホール)の取材会を開いた。

来年、宙組が誕生25周年を迎えることを記念して行われるコンサート。姿月自らが「初演時の思いやエネルギーをもう一度伝え直したい」と梅田芸術劇場に企画を持ち込み、実現した。

発足時の主力スターだった和央ようか(54)、湖月わたる(51)らも出演。宙組の代表的ナンバーで、今なお歌い継がれる「シトラスの風」や、退団後にOG公演で3人が共演した「シカゴ」、さらに、ソロとして活動する今歌いたい楽曲など、バラエティー豊かなパフォーマンスを披露する。

姿月は87年入団。その後、98年に新しく発足した宙組の初代トップスターとして活躍した。

当時は、65年ぶりの新組創設で注目され「たくさん非難を浴びて耐えるのが大変でした。結果を出さないと認めてもらえないので、毎日とにかく舞台の上でできる限りのことをするだけでした」。中傷もあったといい「舞台の上だけが安全な場所でした」と振り返った。

スターシステムの宝塚にあって、トップは公演の成否をすべて背負うといっても過言ではないほど、大きな重圧がある。加えて、先輩のいない新組をけん引する立場は、さらに過酷な面もあった。

そんな背景から、姿月は、サッカー日本代表がワールドカップ(W杯)初の8強を目指して「新しい景色」へまい進し、激闘を繰り広げた様子に共感した思いも吐露した。

「誰もしたことがないことをするのは怖いけど、挑戦しなければ始まらない。サッカーを見ていて、お披露目公演の時に組の全員で一歩を踏み出したときと同じような気持ちになりましたね」

現役時代の自分とサムライブルーを重ね合わせた。そんな姿月が道を切り開いた宙組も、ようやく来年25周年を迎える。

「今は“コーラスの宙組”とか言われてるみたいで。私がいたときは大勢の場面が多くて、みんなでお稽古することがすごく多かった。そういう歌の伝統であったりとか、チームワークを称賛されているのは大変うれしく思います」

1世紀を超える歴史を持つ劇団で、最も新しい宙組。その宙組にも伝統が継承されていることを喜び「私たちの公演を見て、お客さまはもちろんですけど、宙組の現役の方たちにも何か感じてもらえたらうれしい」と話していた。【竹本穂乃加】