昨年10月にメジャーデビューした子役出身の歌手、南川ある(26)が5日にヒューリックホール東京で初のホールライブを行う。書き下ろしの新曲や昨年発売したミニアルバム収録曲をはじめ、ゲストとの特別ステージも披露予定。「あるがままの私を見せたい」と意気込む舞台への思いを聞いた。

南川は「私の思いや人生を感じられるライブになると思います。どんな人間かを知ってもらえるような、自己紹介の意味も込めた公演にしたい」と語った。ゲストには所属事務所の先輩、Psalm(サーム)のほか、YouTubeチャンネル登録者数129万人の2人組ミュージシャン虹色侍の、ずまらが出演する。数十人のコーラス隊を従えて歌う曲もあるといい、南川は「見ても聞いても楽しいライブになると思います」と自信を込めた。

芸歴は22年目。4歳で子役デビューし、03年の映画「バトル・ロワイアル2」や「リンダ リンダ リンダ」「クローズド・ノート」などに出演した。当時からオーディションなどで歌の部分で仕事を受けることが度々あったといい、お茶の水女子大在学時にゴスペルサークルに入ったことをきっかけに卒業後から本格的に歌手活動も開始。大学時に準優勝した全国大学生カラオケチャンピオン大会では、MCの芸人エハラマサヒロに“バファリンボイス”と称され、「優しさが半分入っている」とたたえられた。

16年には単身ニューヨークへ渡り、2週間にわたってブロードウェーで活躍する講師のもとでダンスやボイストレーニングに励んだことも。南川は「演技と並行して小さい頃からずっと歌を歌ってきて、コーラスやゴスペル、ミュージカルも経験しました。声を使い分けて、音楽にいろんな色をつけられる人になりたいなと思っています」と話す。

19年「NHK紅白歌合戦」ではRADWINPSのバックコーラス、大学のサークルOBでもあるゴスペラーズ黒沢薫が作詞作曲を手がけたAKB48の派生ユニット楽曲「はじまりの唄」では仮歌を担うなど、デビューへ向けて着実に力を蓄えてきた。

今回立つヒューリックホール東京は、コロナ禍で座席数を減らしてはいるが、自身過去最大の500人規模。同じ建物に入る映画館では子役時代に舞台あいさつで登壇したこともあり「感慨深いです」と語る。「たくさんの方に力を貸してもらっているので、期待は裏切れません。プレッシャーもありますが、応援してくれる方のためにかっこいい姿をみせたい」と本番を見据えた。

あるという名前は、父から「あるがままに育つように」という願いを込めて名付けられた。今後は俳優業との両立が目標で、憧れは女優の島田歌穂(59)。「映画の主題歌とかも歌ってみたいですし、ミュージカル出演も目指したい」と力を込めた。【松尾幸之介】

◆南川ある(みなみかわ・ある)1997年(平9)1月27日、東京都出身。3歳でNHK「おかあさんといっしょ」出演を果たし、4歳で劇団若草に入団。中高は小栗旬や土屋アンナ、平井大、YOASOBIのボーカル幾田りらも輩出した明星学園に通う。高校3年時は生徒会長も務め、現在も同校で続く「スポーツごみ拾い大会」を考案。22年はゴスペラーズ黒沢薫のツアーにコーラスとして出演した。身長156センチ。