俳優東出昌大(35)が28日、大阪市の大阪弁護士会館で主演映画「Winny」(松本優作監督、3月10日公開)の先行上映会の舞台あいさつに出席した。司会を務めた壇俊光弁護士(51)から涙のメッセージを受け取った。

04年5月、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子勇さんの著作権法違反幇助(ほうじょ)での逮捕、裁判で無罪を勝ち取るまでを描いた物語。金子さんは12年7月6日、42歳の若さでこの世を去った。東出は金子さんを演じた。舞台あいさつには壇弁護士役の三浦貴大(37)、松本監督も出席した。

舞台あいさつの途中、壇弁護士が「3人にそろって会う機会はないかもしれないので、メッセージを送りたくて」と語り出した。東出が金子役をやると聞いたときの感想として「東出さんがあの女性に奥手の金子さんの役やるの? これは何の皮肉かと思った」と話すと、会場はドッと沸いた。

ところが東出と金子さんのお墓参りに行った際「世間で言われているような方ではなく、すごく誠実。金子さんの墓石を丁寧に洗っていました。感謝しています」と頭を下げると、壇弁護士はあふれる涙を手で拭った。

「東出さんが妙に頑固なところとか、興味のあることは突然、冗舌になるとか…。報道で傷つく姿を見る度に、金子さんの姿を思い浮かべた」

最後に「たぶん金子さんがプログラムしかできなかったように東出さんはお芝居でしか自分を表現することができないと思う。これからの役で自分自身を表現してほしい」と励ました。

じっと聞き入った東出は「僕の演じた金子勇は世間でなんて言われようが、有罪だろうが無罪だろうが、彼自身は変わらない。彼自身の人生を全うした」と涙のメッセージをかみしめた。