宝塚歌劇団の現役最長トップ、宙組の真風涼帆と、相手娘役潤花らの退団公演「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」は17日、兵庫・宝塚大劇場での千秋楽を迎える。真風は06年入団の研18(18年目)。宝塚音楽学校入学からは丸19年過ごした本拠地・宝塚での日々に別れを告げる。

175センチ長身で男役として恵まれたスタイル、加えてノーブルな宝塚らしい男役として、星組だった下級生時代から注目を集めてきた。新人公演主演は5回。星組から15年5月に宙組へ移り、17年11月に同組トップに就いた。

昨年の退団発表会見では、通常はサヨナラを意味する白系の衣装で登場するトップが多いが、真風は「金びょうぶに負けない衣装を」と言い、銀ラメのスーツで臨んだ。宝塚のスターとして、絶対的な気品にあふれ、王道の男役道を貫いてきた。

故郷の大先輩で雪組トップから劇団理事となってもスターとして活躍し、21年10月に退団した轟悠、星組時代長らく背を見てきた元星組トップ柚希礼音ら、先輩の姿から男役芸を学び「男役とは終わりなき道」との思いをかみしめ、退団公演に臨んできた。

真風が最後に演じたのは、ジェームズ・ボンド。劇団を代表する演出家の1人、小池修一郎氏が脚本・演出を担当し、その小池氏からは「狙った通り、涼やかでダンディー」「単純にかっこいい。男役としての説得力がある」「今後、派生作品が生まれても、真風ほど観客を納得させられるボンドはいないだろう」などと、賛辞の嵐。小池氏は「つねに宝塚にいるトップではない」とも、たたえた。

本拠地9作での退団は、近年では柚希礼音(元星組トップ)の11作、明日海りお(元花組トップ)の10作に次ぐ。コロナ禍の影響で、在位年数としては、平成以降では和央ようか、柚希に続く長期になり、5年7カ月で退く。

本拠地に別れを告げた後は、「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」の東京宝塚劇場公演が5月6日に開幕。同千秋楽の6月11日付で、宙組組長寿つかさらとともに退団する。

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