フランスで今日16日、開幕する世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを争う、コンペティション部門に出品された、役所広司(67)の主演映画「Perfect Days」(日本公開未定)のメインキャストが同日、発表された。役所が演じる東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山が、休日に訪れる居酒屋のママを歌手の石川さゆり(65)が演じる。石川が女優として映画に出演するのは、1979年(昭54)の映画「トラック野郎・故郷特急便」以来、44年ぶりとなる。ママの元夫を、三浦友和(71)が演じる。
また、平山のもとに突然、訪れるめいを新人の中野有紗(16)その母で平山の妹を麻生祐未(59)が演じる。平山と奇妙なつながりをもつホームレスをダンサーの田中泯(78)、同僚の清掃員を柄本時生(33)そのガールフレンドをアオイヤマダ(22)が、それぞれ演じる。キャストの発表と併せて、ビジュアルも解禁された。
「Perfect Days」は、1987年(昭62)「ベルリン・天使の詩」でカンヌ映画祭監督賞を受賞した、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督(77)が東京・渋谷を舞台に、役所を主演に撮影した最新作で自ら脚本も担当した。製作は、22年5月に東京で開かれた会見で発表された。ヴェンダース監督は、世界的に活躍する16人の建築家やクリエーターがそれぞれの個性を発揮して、区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修する、渋谷で20年から行われているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のトイレを舞台に新作を製作。そのため、11年ぶりに来日し、シナリオハンティングなどを行った。
役所は会見で、自身が演じる役どころについて「楽屋で大体、キャラクターを聞いて。365日、休まず1日3回、トイレを清掃する男」と説明。その上で「すごく美しい物語になる予感がしました。そこで働く人間、利用する人間たち…日本人というものを、何か、理解してもらえるような物語になるかなという予感がしました」と語った。一方、ヴェンダース監督は「(公衆トイレの)維持のためにはケアテイカーが必要であり、存在している。これからする仕事が、彼らに見合うものになれば」と語った。
質疑応答で、役所は「(トイレは)誰しも1日、何回も利用して、人間にとって欠かすことの出来ないもの。清潔で使いやすいものを要求する。でも、公衆トイレは汚かったり、におったり、ちょっと危険な場所だったり、壊れたりすると、どんどん使う人のマナーがエスカレートして、ますますダメになるイメージがある」と公衆トイレについての印象を語った。
演じる清掃員のイメージについては「初めて入って、汚れているのを見た時、どういう気持ちになるんだろう。なめるようにきれいにした後、トイレに入ってきた人間が、その美しさに、どういう気持ちになるんだろう」と、トイレの使用者までイメージした役作りの一端を明かした。さらに「1日3回、掃除する。汚れたものを掃除しますが、仕事だから清掃しているだけでは、ないのではないか? という気がしています」と続けた。
そして「清掃するだけでないので、私生活も監督は考えてくださっている。どんなところ住み、好きな飲み物、音楽を聞きました。人物が、美しい人間という感じがした」とヴェンダース監督の描いた主人公像の一端を披露した。そして「ヴェンダース監督の作品…その日、その日に何を撮るか、どういうアクションになるか分からない。何とか監督についていきたい」と意気込んだ。
同じ質問に対し、ヴェンダース監督は「男性(役所が演じる清掃員)は、恐らく、こういう仕事をしているだけに、人間を愛していなければいけない。人間が好きでなければ、トイレを清掃する意味がない」と語った。その上で「人のためにサービスするのを愛し、他人にも献身的だと考えています」と続けた。
◆「Perfect Days」東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山は、淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなく、常に新鮮で小さな喜びに満ちた、まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読みふけるのが喜びで、いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。平山は木が好きで、自分を重ねているのかもしれない。ある時、平山は思いがけない再会をし、それが彼の過去に少しずつ光を当てていく。



