女優若村麻由美(56)が20日開始のフジテレビ系連続ドラマ「この素晴らしき世界」(木曜午後10時、初回15分拡大)で主演を務める。当初は主演予定だった鈴木京香(55)が体調不良により緊急降板。急きょオファーを受けた若村が1人で複数の役を演じている。03年の同局系連続ドラマ「夜桜お染」以来20年ぶりの地上波連ドラ主演への意気込みを語った。

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今作は“なりすましコメディー”で、若村は平凡な主婦・浜岡妙子と大女優・若菜絹代を同時に演じ分けている。妙子の夫陽一役はマキタスポーツ(53)が、1人息子のあきらは中川大輔(25)が演じている。

「私の中では、まずは浜岡妙子という普通の主婦というのが自分の中の基本としています。夫はマキタスポーツさんで、中川大輔くんが長男。というか1人息子なんですけども、その3人家族がまず第一にしっかりとあるというのが基盤になっています」

妙子は事務所関係者も認めるほど若菜に顔も声もそっくりだった。若菜の週刊誌スキャンダルの釈明会見に、妙子が身代わり出演を打診される“なりすましコメディー”だ。

「大女優(若菜絹代)が失踪したので、代役に急きょなる。“なりすましコメディー”という言い方をされています。普通の主婦が見たこともない世界に飛び込むというところから始まるというので、まずそれが基本になっています」

妙子を演じるにあたって、カギを握っているのがマキタスポーツの存在だった。

「マキタさんの力がすごく重要で、撮影に入る一番前に家族のシーンだけ、本読みをさせていただきました。その時にああ、こういう旦那さんを持っている奥さんなんだ、と。大変だなっていう風に思わせてくれたぐらい、マキタさんがすごく実感のあるお芝居をなさっていて。それがすごくいいんですね」

浜岡夫婦の日常生活に注目が集まる。

「旦那さんがいつもくるくると靴下を半分だけ、かかとの部分だけ脱げている。それがすごく気になっているんですけど、口では言わないんですね。それを洗濯機にそのまま突っ込まれていたりとかして、洗濯機がうまく動かなくなったりとか、そういう日常生活のいろんな積み重ねがしっかりとあるベースにあって」

徐々に物語が動き出していく。

「そこから思わぬ世界に連れ込まれるわけなんですけれども。そこで起こるさまざまな出来事でカルチャーショックを受けながらも、何とかこなしていこうとする前向きな妙子さんが次に登場してくるんですね。そこが若菜絹代のふりをして、かつらをかぶって、つけまつげをして、つけ爪をして扮(ふん)して最初に謝罪会見という大きな目標に向かっていく。シェイプアップ大作戦とか、ヒールを履いて一生懸命練習するとかいうことが始まるんですけど、なかなかうまくいったんじゃないかということが事務所側の方であって」

そこから妙子扮する絹代、“妙子若菜”が暗躍し始める。

「若菜絹代がなかなか戻ってこないということもあって、次から次へといろんな番組に登場していくという。普通の方が見たこともない、業界の裏側を面白く見せながら、その都度普通の主婦がいろいろカルチャーショックを受けていくということが多分、視聴者の方には面白く見ていただけると思います」

修羅場をくぐった“妙子若菜”が徐々に自信を持ち始める。

「そのうち、だんだんと主婦妙子も自分の中の未知なる可能性みたいなものに気づき始め、最初はかなり及び腰というか後ろ向きだったんですけれども、あることをきっかけに『若菜さんになってみる! やってみる!』という風に、1歩ちょっと前に踏み出すんですね。自分からちょっとずつ挑戦をしていく。その過程が面白おかしいんですよ」

一方で、大物芸能人の若菜絹代役の撮影もスタートした。若菜の付き人の円井わん演じる室井セシルから「悪魔のような人」と言われている。

「この若菜絹代のシーンというのは、今撮り始めているところなんです。けれども、まだ悪魔的なところっていうのはあんまり撮っていないんです。なので、どんなふうに悪魔なのかはちょっと私もまだ分からないんですけど、それはこれからのお楽しみ。でも、おそらく本人はマイペースであるということなんだと思うんです。それは客観的にいろんな人にとって悪魔だったり。突然いなくなったりとか、そういうところが悪魔っていうところでもあるのかな、と思っています」

妙子、絹代、“妙子若菜”の3役のうち、一番共感できる役柄について明かした。

「意外と浜岡妙子に共感できます。普通に暮らしている。主婦として共感できます。スーパー働いたことないんですけど、楽しいんだろうなと思っていて」

鈴木が体調不良による緊急降板で急な出演オファーだったが、前向きに快諾した。共演者やスタッフが温かく迎えてくれた。

「現場に入った時に、やらせていただくことになりましたっていう、ごあいさつさせていただいた時に、スタッフの方たちが本当に温かく迎え入れてくださって。すごく緊張していたんですけど、この中でやらせていただけるかもしれないって、ふと思っていたんです。でも、現場に実際入ってみて、セリフを言った時に、それは共演者の方もスタッフの方も、それぞれの役割を全部してくださっている中の時に、1歩踏み出したんだなっていう感じがしました。この温かいスタッフと共演者となら、やっていけるなっていう風に、その時が1つ大きな安心感とともに、楽しいな、という風に感じられたので、あとは怒濤(どとう)の毎日を送っているという感じです」

◆若村麻由美(わかむら・まゆみ)1967年(昭42)1月3日、東京都生まれ。高校卒業後の85年に、仲代達矢主催の「無名塾」入り。87年NHK連続テレビ小説「はっさい先生」で主演デビュー。88年エランドール新人賞受賞。00年に映画「金融腐蝕列島 呪縛」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞。NHK大河ドラマは「春日局」(89年)「信長」(92年)「篤姫」(08年)「花燃ゆ」(15)に出演。18年には演劇「チルドレン」で第44回菊田一夫演劇賞受賞。162センチ、血液型A。