黒柳徹子(90)が、81年3月に出版しベストセラーとなった自伝的小説「窓ぎわのトットちゃん」の続編「続 窓ぎわのトットちゃん」を書き上げ、10月3日に出版することが、このほど出版元の講談社から公表された。

「窓ぎわのトットちゃん」は黒柳が少女時代、幼小一貫校の「トモエ学園」で出会った恩師、小林宗作先生との思い出をいきいきと描いた。当時の黒柳が「徹子(てつこ)」を「トット」と発音していたことにちなみ、主人公の名も「トット」。音楽を用いた情操教育「リトミック」を日本に持ち込んだ小林先生との日々を描いた同書は、たちまちベストセラーとなり、現在までの累計発行部数は日本国内で800万部、全世界で2500万部を突破。20以上の言語で翻訳され、日本だけでなく世界中の人々の心を捉え、世代を超えた作品となっている。

このほど42年の月日を経て完成した「続 窓ぎわのトットちゃん」の物語は、トットが青森に疎開してから、音楽学校を卒業してNHKの専属女優になり、ニューヨークに留学するまでの日々。東京大空襲の数日後に青森を目指して、ひとり夜行列車に乗ったトットを待ち受けていた試練や、「おめえのジンジョッコ、描いてみろ」と言われ、疎開先の学校で、みんなとなかよくなりたいトットが、考えついた方法。「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に、トットが通った女学校や音楽学校時代の映画、オペラ、ラーメンなどの思い出や、NHK専属女優になりたてのトットが救われた一言「そのままでいいんです」などが記される。前作に引き続き、いわさきちひろさんの絵も掲載される。

黒柳もコメントを寄せた。「私は、どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない、と思っていました。私の人生でトモエ学園時代ほど、毎日が楽しいことはなかったから。だけど、私のようなものの『それから』を知りたいと思ってくださる方が多いのなら、書いてみようかなと、だんだん思うようになったのです。よし! と思うまで、なんと42年もかかってしまったけど、書きはじめると、笑っちゃうこと、泣いちゃうこと、それから戦争のことも次々に思い出されて……」と執筆を振り返っている。

関係者によると、ファンから続編の希望が根強く、これらを受けて、黒柳が長年温めていた構想がこのほど形になったという。

また「窓ぎわのトットちゃん」初のアニメ映画化も決定し、12月8日から全国公開される。