吉本興業は8日、「週刊文春」で15年の一般女性への性的行為強要疑惑が報じられていたダウンタウン松本人志(60)の活動休止を発表した。同事務所は昨年末の報道直後に内容を全面否定しており、本人の意思も確認し、真偽を明らかにする裁判に注力するための対応とした。コンビ、個人ともに出演番組などは多数あり、突然の発表に関係各所は対応に追われている。

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お笑い界のビッグネームが大きな決断を下した。吉本は公式サイトに書面を掲載し、松本人志に関する報道が出た昨年末からの騒動を謝罪。その上で「当該事実は一切なく、タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損(きそん)するもの」とした見解に変わりないことも強調し「松本から、まずはさまざまな記事と対峙(たいじ)して、裁判に注力したい旨の申入れがございました」と明かした。

報道後は取引先にも問い合わせ等が相次いだといい、松本の活動継続によってかける各所への負担や、裁判との同時並行の労力などを鑑み、本人からも当面の間活動を休止する強い意志が示されたという。松本は発表後にX(旧ツイッター)を更新し「事実無根なので闘いまーす。それも含めワイドナショー出まーす」と投稿。昨年3月に卒業した番組へ再出演し、騒動について語る意向であることを明かした。

活動休止としながらの番組出演について吉本関係者は「今日発表したばかりなので」としつつ「対応は関係各所の状況に合わせていきます」と語るにとどめた。裁判では女性側との性的行為の合意があったかどうかが争点になるとみられ、

展開次第では活動休止期間が年単位になる可能性もあるという。

松本はコンビ、個人合わせて地上波レギュラー番組7本、コンビでくら寿司とCM契約などを結んでいる。特番でも審査員を務める毎年恒例の「M-1グランプリ」、チェアマンを担う「IPPONグランプリ」などがあり、コンビで25年開催予定の大阪・関西万博のアンバサダーにも名を連ねるなど、影響は小さくない。

昨今の情勢からテレビ局や番組スポンサーは人権問題に敏感になっており、ダウンタウンが司会を務めた、4日放送の日本テレビ系「ダウンタウンDX」の特番では提供クレジットが表示されず、CMの一部がACジャパンに差し替わるなどしていた。

吉本関係者は「闘うために時間をつくります」としており、別の関係者も現時点での引退などの可能性は否定。発表文面でも「再びダウンタウン松本人志として活動する日をお待ち下さいますようお願い申し上げます」とつづっており、今後の経過、そして決着の行方に大きな注目が集まっている。