AV監督の村西とおる氏(75)が16日、2022年6月に施行されたAV出演被害防止・救済法(AV新法)の見直しを求めて東京・永田町、新宿、渋谷で街頭演説を行い、渋谷では「AV新法改正『ナイスですね!』演説イベント」を開いた。

村西氏はイベント後、囲み取材に応じた。昨今、同氏はダウンタウン松本人志(60)の飲み会に関する週刊誌報道に対して、セクシー女優霜月るながX(旧ツイッター)で記事の一部内容を「嘘だらけの記事」「デタラメな記事」と否定しているにも関わらず、テレビがこうした反論をあまり報じないことに疑問を呈している。

囲み取材で、その件について聞かれると、村西氏は「AV新法の問題もそうだが、AV女優というと、それだけでもって差別的目線で、どうでもいいという扱いをされる。極めて重要な女性の人権に関する問題」と指摘。「メディアはスクラムを組んで良いのか? メディアは腰抜け」などと苦言を呈した。

AV新法は、AVの出演被害を防ぐ法律として議員立法により制定された。女優として出演した女性を守る法律として施行された一方で

<1>AV撮影については、契約の書面交付から1カ月の撮影は禁止

<2>全ての撮影の終了から4カ月は公表を禁止、公表の前には出演者への事前確認の義務

<3>制作公表後1年間、出演者は無条件で契約解除が可能

などの規定が、制作の実情に合わない厳しい規制で、制作会社や制作者、女優らの間から実情に合わないなどとの声が出ている。

この日、村西氏と対談したセクシー女優の佐々木咲和は、<1><2>のために「4カ月、仕事がない状況」と訴えた。「AV新法が始まる前は、誰かが撮影が入っていて熱を出したら、代わりに行ける? と言われれば仕事があった。けれど、今は1カ月前に契約書を交わさないといけないので、私は来月も仕事がない」と具体的に状況を説明。「AV新法がある方が、メンタルに(ダメージが)くる。私のような名前のない女優は、ピンチヒッターをやれば次の仕事が来る。チャンスを失ってる子が、たくさんいる。私は入りたくて入って13年…好きで誇りを持って、この仕事をしている」と涙ながらに訴えた。

AV新法をめぐっては「1カ月-4カ月ルール」について、法律家の間でも女優、男優含め職業選択、営業の自由を広く制限しているなどとの指摘もある。また、表現の自由において過度の規制をしている、との指摘もある。

AV新法には「施行後二年以内に施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」などとした見直し規定がある。今年6月で施行から2年を迎えることを踏まえ、村西氏らは動いている。同氏は「6月のAV新法の改正の時期に、AVは表現の自由だから、しょうがないから認めるとして、リアルなセックスシーンを禁止しようとしている。AVで本番をやると被害者が出るから、やめにしようと言う」と声を大にした。

さらに、村西氏は「ハメ取りして、無修正動画を(ウェブに)に上げている世界の話で、我々、適正AVは誰かを傷つける世界じゃない。表現の自由、職業選択の自由を阻害する法律を阻止したい」と訴えた。佐々木も「AV新法は、私たちに何も聞き取りがなく、業界の声は何も入っていないのに、1カ月半でチョロッとできたウソみたいな法律。それでも2年間、業界はみんな我慢して守ってきた。見直しの機会に声を上げてもいいですよね。せめて業界の声を入れてください!」と涙した。