山田尚子監督の最新作となるアニメーション映画「きみの色」(8月30日公開)製作報告会が18日、都内で行われた。席上で、主人公3人の声を担当する声優陣が発表された。子どもの頃から人が「色」で見える高校生の日暮トツ子を鈴川紗由(18)トツ子がバンドを組む、美しい色を放つ作永きみを高石あかり(21)、母に家業の病院を継ぐことを期待され、隠れて音楽活動をする影平ルイを木戸大聖(27)が、それぞれ演じる。また3人を導く物語のキーマン、シスター日吉子を新垣結衣(35)が演じる。

「きみの色」は、脚本を人気アニメシリーズ「けいおん!」でも山田監督とタッグを組んだ、吉田玲子氏が担当したオリジナル作品。鈴川は「こういう場が(会見が)初めて。とても緊張しているんですが楽しみたい」と初々しくあいさつ。「誰もが経験するししゅんこきならではの悩み、抱えている思いだったりを、3人が出会って音楽活動を通して心を通わせて成長していく姿に私自身、共感できる」と語った。

高石は「オーディションから始まり、やっとこの日が来たのかとうれしい」と感慨深げに語った。そして「映像美が本当にすごくて、監督が描く線1つ、1つに、ものすごいこだわり…まつげ1本、1本、普通の動きではない。私はあの時、ときめいた感動は映像にすると、こんなきれいなんだと」と映像美を強調した。

木戸は「3人の思春期の悩みは誰しも経験がある。向き合っている子たち含め、誰もが共感できる」と作品を評した。そして「そこに入ってくる音楽、色合いで表現される繊細さは、本当に大きな魅力」と絶賛した。

鈴川はコーラス、高石はボーカルとして、劇中歌「水金地火木土天あーめんっ」も歌唱した。鈴川は「トツ子から、きみちゃんへの思いが、たくさん詰め込まれた曲。歌詞が、トツ子らしいチャーミングな言葉選び。音楽も、つい鼻歌で歌っちゃったり、口ずさんでしまう中毒性がある曲」と評した。高石も「本当にチャーミングでポップで、踊り出したくなる。でも、その曲が劇中で流れた時、私は涙してしまった。1つ、1つの物語を見て、たどり着いた1曲が本当に美しくて…ぜひ、皆さんに体感していただきたい」とアピールした。木戸は「本編を見た時、初めて聴かせてもらった。鳥肌が止まらなかった」と感想を語った。

新垣は、文書でコメントを発表。「試写の後、顔を合わせたときは物語の3人に会ったようで高揚しました。他の大人より、かなり熱く見守っている人です」などとつづった。山田監督は、新垣のキャスティングについて「まさかお受けいただけると思わなかったが、ダメ元でアタックしました。(作品は)シスター日吉子の話でもある。せりふの1つ、1つのイントネーションも大事にされ、ものすごく感激しました」と語った。

山田監督としては、映画としては18年「リズと青い鳥」以来6年ぶり、アニメとしても22年の「平家物語」以来の新作となる。米国、英国、ドイツ、イタリア、韓国はじめ210の国と地域の公開が予定されており、川村元気プロデューサーは「完成品をまだ見ていないところが多い中。これまでのグローバルセールスが決まるのはジブリ、新海誠監督並み」と説明した。

山田監督は「映画を作る事への憧れ、映画への尊敬があった。映画を作ることができるということだったので、見てくれた方の映画体験を大事にしたく取り組みました。劇場で見ることを大事にしました」と、作品製作にあたっての思いを語った。