宝塚歌劇団の25歳宙組団員が昨年9月に急死した問題で、阪急阪神ホールディングス(HD)は28日、嶋田泰夫代表取締役社長、大塚順一執行役員や、劇団の村上浩爾理事長が大阪府内で記者会見し、遺族側と合意書を締結したと発表した。

合意書には、遺族側の主張が大筋認められ、21年8月に団員が上級生からヘアアイロンでやけどを負わされたことにも、上級生が強要したと認めた。劇団側は、やけどについては「故意ではない」としながらも、「当該宙組上級生は真に被災者の気持ちをくんだ気遣い、謝罪を行わなかった」とした。

新人公演をめぐる過重労働、必要ではない上級生からの指示遂行の強要など、14項目に及び、劇団側が遺族側の主張に合意した。

また、ヘアアイロンによるやけどをめぐっては、週刊誌報道を受け、当時、劇団は公式ホームページに「まったく事実無根」との見解を掲載したが、これについても非を認めた。

21年当時から新人公演の直前に、2日連続で髪飾りの作り直しを上級生が命じ、ダメ出しでは「人格否定のような言葉を浴びせた」とし、加えて、当時の宙組プロデューサーがこれを認識しながら放置し、対処しなかったことも認めた。

これらの状態が23年まで続き、2月には宙組幹部4人が団員を呼び出し「過呼吸の状態になるほど大きな精神的負担が生じた」と指摘されたが、これにも合意した。

団員が亡くなる数日前になる23年9月下旬には、下級生の衣装取り扱いをめぐり、衣装部から苦情があったが、団員に落ち度がないにもかかわらず、宙組上級生は「下級生は被災者の責任」として、指導・叱責(しっせき)していた事案も容認。

その翌日、もしくは翌々日に、宙組上級生が「お声がけ」をめぐる、団員を大きな声で指導、叱責(しっせき)したことなども事実として認めた。

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