阪急阪神ホールディングス(HD)の嶋田泰夫代表取締役社長は28日、大阪府内で、団員急死にともなう遺族側との合意を発表し、席上で、ハラスメントを認める方針転換への経緯を語った。

嶋田社長は「重大な結果になり、痛切に反省しております」とし、当初は否定していたハラスメント行為と、遺族側が15件提示して項目などを精査するうちに「気づきがあった」と語った。

今回の事態について「原因をつきとめるのは難しい」としながらも、大枠で「長年の過重労働によって、劇団員にさまざまな負担を強いてきたことが理由と考え、謝罪した」と説明。

「調査報告書の内容のみにとどまらず、関係者にヒアリングを行った」とし、続けた。

嶋田社長は「たとえば厳しい叱責(しっせき)が悪意はなかったとしても、ハラスメントにあたる。その気づきが、劇団員にはなく。また、我々が教えてもいなかった。我々が、劇団員にその認識を持たせることができていなかった」と言い、劇団の責任は極めて重いと繰り返した。

「怠慢というそしりを受けても、甘んじて受け入れざるを得ない。遺族心情を思い、ハラスメントを認めるに至った次第であります」とも語った。

また、合意書締結にあたり「謝罪の内容、誰が謝罪したかについては、詳細の回答を控えたい」とし、謝罪したメンバーを明かさなかったが、その心情には言及。「これらの行為者には、ヒアリングは行っており、悪意があったとまでは言えないものの『(被害者の)心情に、大きな影響を及ぼした』ことには深く反省している」とし、このために謝罪を行ったとした。

宙組上級生による謝罪は「ご遺族側と同意の上」で手紙で行ったといい、謝罪した人数については「控えたい」とした。

今後、劇団では、宙組にかかわらず、他組へもハラスメント講習を広げていくといい、村上浩爾理事長は「今まさにこれから広めていくところです」と語った。